「新幹線の指定席」に座ったら、“隣の大荷物”で窮屈! 自由席に避難したいですが、指定席券のほうが“料金が高い”ですよね? 勝手に移動しても問題ないでしょうか?
「自由席なら空いているし、指定席のほうが料金も高いから移っても大丈夫では?」と思うかもしれませんが、鉄道会社のルール上はそう単純ではありません。
本記事では、乗車後でも乗客の都合で指定席から自由席へ変更できるかどうかを、注意点と併せて整理します。
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目次
指定席と自由席の違いを正しく理解しよう
まずは、指定席と自由席の「料金」と「ルール」の違いを押さえておきましょう。指定席とは、乗車する列車と座席をあらかじめ指定して乗るための制度であり、自由席よりもおおむね数百円高い料金が設定されています。
例えば、東京~新大阪間(のぞみ)では、普通車指定席の特急券は自由席よりも通常期で850円高くなります。
この差額は、「座席を必ず確保できる権利」に対して支払うものです。そのため、指定席券を持ったまま自由席に勝手に移動すると、契約上は「指定された座席を放棄して別の条件の座席に乗車した」として扱われ、鉄道会社の営業規則(JR東日本 旅客営業規則第182条の4など)に反する行為と見なされる可能性があるため注意してください。
自由席に移りたいときはどうすればよい?
隣席の荷物が気になるような場合でも、無断で移動せず、まずは車掌に相談することが大切です。鉄道会社の規定に「相談すれば別の座席に移動できる」といった記載はありません。
しかし、例えば、JR東日本では「自分が予約した指定席に他人が座っていたときには、車掌に相談してください」とアナウンスしています。ほかの客の荷物が原因で自席のスペースを確保できないときにも、まずは車掌に相談してみましょう。
また、自由席から指定席へ移動したい場合も、車掌に相談してください。空席状況や車掌の判断により、差額を支払えば指定席へ移動できることがあります。たとえ空席があっても、途中の停車駅から予約済みの客が乗ってくる可能性があるため、勝手に移動せず車掌の指示に従いましょう。
無断で移動するとどうなる?
通常、指定席から自由席券に変更するには、乗車前に差額の精算または払い戻しをしてから自由席券を購入しなければなりません。自由席券を買い直さずに勝手に座席を移ると、「指定された列車・座席以外に乗車した」とみなされます。車掌が巡回時に発見すれば、その場で事情を確認され、自由席券の料金を改めて精算される可能性もあるでしょう。
車掌に申し出た場合の扱い
正しい手順で申し出た場合、車掌による状況判断に応じて自由席への移動自体は認められますが、原則として指定席との差額の払い戻しはありません。指定席を利用できなかった理由が、鉄道会社側の事情ではないためです。とはいえ、ルールに従って行動することで、トラブルを避けながら柔軟に対応してもらえる可能性が高まります。
自由席が満席のときに払い戻しできる?
自由席に移動しても、座れるとは限りません。特に繁忙期は立ち席になることもあります。また、「指定席の料金を払っているのに、自由席が満席で座れなかったから差額を返してほしい」と思っても、払い戻しの対象にはなりません。
JR旅客営業規則では、払い戻しが認められるのは「鉄道会社の都合によって指定席が利用できなかった場合」に限られます(例:車両トラブル、運休など)。自分の判断で自由席へ移動した場合は、払い戻しの条件に該当しません。
乗車前なら自由席に変更できる
乗車前に「自由席に変更したい」と思った場合は、発車前にみどりの窓口などで手続きを行えば変更してもらえます。この場合、自由席特急券との差額を払い戻してもらえるため、ルールにのっとった対応といえます。
大きな荷物がある場合の対策も知っておこう
近年は外国人観光客も増え、スーツケースなど大きな荷物を持ち込む人が増えています。
東海道・山陽・九州・西九州新幹線の一部車両では、特大荷物スペース付き座席(事前予約制)が導入されています。この制度を使えば、三辺の合計が160センチメートルを超える大きな荷物を持つ人が安全に収納でき、隣席の乗客とのトラブルも減らせます。
指定席と自由席の移動ルールを正しく理解しよう
指定席のほうが料金は高いからといって、自由席へ勝手に移動できるわけではありません。指定席料金は「座席を確保するための対価」であり、無断での移動は鉄道会社の規則に反する行為です。隣席の荷物などで窮屈に感じた場合は、まずは車掌に相談しましょう。車掌の判断で別席に案内されることもあります。
トラブルを避けるためには、ルールを理解した上で正しい手続きを踏むことが大切です。
出典
東日本旅客鉄道株式会社 旅客営業規則 第2編 旅客営業 第4章 乗車券類の効力 第7節 座席指定券の効力
東海旅客鉄道株式会社 東海道・山陽・九州・西九州新幹線への特大荷物のお持ち込みについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
