「JR山手線の通勤定期代」が来年3月に“20%以上”の値上げ予定! 会社から「社会保険料が増えるかも」と言われ、給料は変わらないのに“実質減収”になる可能性も!?
本記事では、JRの運賃改定による山手線の通勤定期券の値上げ幅や、通勤手当増額による社会保険料への影響などを解説します。
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2026年3月より山手線内は「幹線」に統合され値上げに
東日本旅客鉄道株式会社では、国土交通省の認可を得て来年3月に運賃改定を実施予定です。
「全エリア」が改定の対象で、「幹線」の運賃は普通運賃が4.4パーセント、通勤定期が7.2パーセントの値上げとなります。これまでの「電車特定区間」および「山手線内」は、他の鉄道事業者との競合のため、運賃が安く設定されていました。
一方で、改定後はともに運賃区分が「幹線」に統合される影響で、値上げ幅が大きくなると見込まれています。
山手線内の通勤定期券の値上げ幅は「22.9%」
値上げされる券種の中でも山手線内の通勤定期券は最も値上げ幅が大きく、22.9パーセントです。また、幹線への統合に伴い、これまで発売されていた1万4970円(1ヶ月)で購入できた山手線内均一定期券も廃止となります。
東日本旅客鉄道株式会社が運営する改定後運賃検索ページによると、山手線内で運賃が高い浜松町~池袋間の6ヶ月通勤定期券の場合、改定前は3万9900円なのに対し、改定後は5万4310円です。参考値ではありますが、1万4410円の値上がりとなっています。
通勤手当増額で「給料据え置き」でも「実質減収」になる可能性も
通勤手当は労働基準法上の賃金の一部として整理されており、給与・賞与などと同じく、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額に含まれています。つまり、運賃改定による通勤手当の増額により等級が上がった場合、厚生年金保険料や健康保険料の負担増に伴う実質的な減収となる可能性があります。
具体例として、東京都内の会社に勤める40代の方が通勤手当の増額によって社会保険料の等級が22(19)等級から23(20)等級に上がったケースで計算してみましょう。
社会保険料の算出方法:健康保険料(介護保険料含む)+厚生年金保険料
22(19)等級の社会保険料:1万7250円+2万7450円=4万4700円
23(20)等級の社会保険料:1万8400円+2万9280円=4万7680円
差額:4万7680円-4万4700円=2980円
このように、通勤手当の増額によって社会保険料の等級が上がると、社会保険料が高くなります。現在の給料が等級の上限ギリギリの場合、通勤手当の増額により上限を超えてしまうことが考えられます。上限を超えると等級が上がるため、社会保険料が高くなる可能性があるのです。
山手線が通勤経路に含まれていて、他の路線も選択肢に入る場合は、経路の変更もありかもしれません。
まとめ
設備投資や修繕などに必要な資金を安定して確保するため、東日本旅客鉄道株式会社における全エリアの運賃が来年の3月から値上げされます。特に、山手線や電車特定区間については幹線に統合される影響で値上げ幅が大きいようです。
山手線内の定期代が上がると、それに伴い通勤手当も増額されます。通勤手当は賃金に含まれるため、給与水準が変わらなくても、通勤手当が増えるだけで標準報酬月額が引き上がり、社会保険料の負担が増える可能性があります。
これは等級が境界付近の人はもちろん、通勤手当の増額幅が大きい人ほど影響を受けやすい点に注意が必要です。通勤経路に複数の選択肢がある場合は、改定後により安い経路がないかを見直すことで、通勤手当の増加や社会保険料の上昇を抑えられる可能性があります。
出典
東日本旅客鉄道株式会社 運賃改定のお知らせ
厚生労働省 通勤手当について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
