「3年で新車を5回買った」という友人。「高く売れる車種だから」と言いますが、それでも“もったいない”と感じます。本当に損していないのでしょうか? 元ディーラー営業マンの筆者が解説

配信日: 2025.11.15
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「3年で新車を5回買った」という友人。「高く売れる車種だから」と言いますが、それでも“もったいない”と感じます。本当に損していないのでしょうか? 元ディーラー営業マンの筆者が解説
「3年間で5回も新車を買った」という友人の話を聞くと、思わず「そんなことできるの?」と驚いてしまうのではないでしょうか。多くの人にとってクルマは、長く大切に乗る高額な買い物です。
 
しかし、一部の人は短期間で何度も乗り換えても、大きな損をせずにやりくりしています。その背景には、リセールバリューを意識した車選びやローンの仕組み、そして車に対する価値観の違いがあります。
 
今回はそのカラクリを元ディーラー営業マンでファイナンシャルプランナーの視点から解説します。
宇野源一

AFP

リセールの高い車を買っている

新車を短期間で乗り換える人がまず意識しているのが、「リセールバリュー」です。実際、中古車市場のデータを見ると、3年落ち(走行3万キロメートル程度)で残価率70~80%を維持している車種は珍しくありません。
 
例えばトヨタ・ランドクルーザーやスズキ・ジムニーといった人気車種は、3年たっても新車価格の大半が戻ってくるケースさえあります。
 
こうした高リセール車を選べば、売却額を次の頭金に充てられるため、短期で乗り換えても出費が膨らみにくいのです。
 
さらに、ボディカラーを白や黒など定番に絞ったり、需要の多いグレードを選んだりすることも重要です。これらは、一見すると小さな選択に思えますが、数年後の下取り価格に大きな影響を与える要素になります。こうしてリセールを徹底的に意識することで、次の購入資金に回せる金額を確保し、乗り換えの負担を軽減しているのです。
 

ローン払いでも関係なく乗り換えている

「まだローンが残っているのに、なぜ次の新車に?」と疑問を持つ人も多いでしょう。しかし、仕組みを知れば不思議ではありません。下取り価格がローン残高を上回っていれば、その差額で残債を清算して新たな車に乗り換えられるのです。
 
仮に残債が下取り額を上回ってしまった場合でも、ディーラーが次のローンに上乗せして処理してくれるケースもあります。結果的に「月々の支払いを大きく変えずに」新車へと乗り換えられるのです。
 
ローンを組まず現金で購入している人であれば、売却額がそのまま次の車の資金になるため、より自由度が高くなります。また、3年以内に乗り換えれば車検費用を支払う必要がなく、大きなメンテナンス出費も避けられます。こうした仕組みを組み合わせることで、頻繁に新車を買い替えても意外と家計に響かないのです。
 

そもそもの「車に対する価値観」が違う

もう1つ大きいのは、「車そのものに対する価値観の違い」です。多くの人は「車は長く乗るほど得」と考えますが、短期で乗り換える人はそうではありません。
 
彼らにとって車は消耗品ではなく資産であり、数年おきに売却しても十分な価値が戻ってくるもの。あるいは「常に新しい車に乗れる」こと自体が趣味やステータスであり、コストをかける価値があると考えています。
 
また、こうした乗り換え方を「サブスクのような感覚」と捉える人もいます。毎月の支払いは続くけれど、その代わりに常に最新の車に乗れる。そう考えると、短期での買い替えは浪費ではなく、ライフスタイルの一部として成立しているのです。
 

まとめ

「3年間で5回新車を買った」というと常識外れに聞こえるかもしれませんが、実際にはリセールバリューを意識した車選びと、ローンや下取りの仕組みを活用した結果です。資金を効率的に回し、車検や大きな整備費用を避けながら、常に新しい車を楽しむことができる。これが短期乗り換えのカラクリです。
 
ただし、FPの視点から見ると「資産性のある車を選び続ける」という前提が崩れると、途端に負担が増えるリスクがあります。人気のない車種やカラーを選んでしまえばリセールは伸びず、残債だけが重く残ってしまう可能性もあるのです。つまり、この方法は計算ずくで選択できる人にこそ成り立つ戦略と言えるでしょう。
 
結局のところ、車はライフスタイルに合わせてどう楽しむかが大切です。長く乗って堅実にコストを抑えるのも1つの道、短期サイクルで常に新車を味わうのもまた1つの道。大事なのは「自分の家計や価値観に合った選択をしているかどうか」なのです。
 
執筆者 : 宇野源一
AFP

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