日本の「古いスポーツカー」は“よく盗まれる”!? 25年ルールでの「海外需要」「価格高騰」…古くても“価値のある車”とは? 90年代以前の車は要注意!
1990年代以前の国産スポーツカー(日産・スカイラインGT-R、トヨタ・スープラ、マツダRX-7、ホンダNSXなど)は、国内では“昔の車”として扱われがちですが、実際には非常に高い価値を持ち、盗難の対象になっているケースが増えています。
その背景には、海外の「JDM(Japanese Domestic Market)」文化や、投資、部品需要など複数の要素が絡み合っているのです。本記事でその背景を解説します。
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JDM文化の影響
「JDM」とは、日本国内向けに作られた仕様の車や、日本国内でしか流通しなかった(あるいは現在進行形で「流通している」)モデルを指します。海外では、JDM車はカリスマ的な人気を誇り、大ヒット映画の「ワイルド・スピード」やゲームでの登場、ユーチューバーによる紹介も人気を後押ししています。
とりわけアメリカでは、1990年代のスポーツカーが「憧れの存在」となっており、その希少性が価格の高騰につながっています。
25年ルールが輸入需要を後押し
アメリカには「25年ルール」と呼ばれる制度があります。これは製造から25年以上たった車であれば、当時の安全基準や排出ガス基準を満たしていなくても、輸入が認められるというものです。
このルールにより、1990年代のスカイラインGT-Rやスープラ、RX-7などが次々とアメリカ国内に輸入可能となり、海外需要が一気に高まりました。
盗まれやすい4つの要因
日本の古いスポーツカーが、25年ルールによりアメリカへの輸出されやすくなったのは前段の通りですが、なぜそれが盗難につながるのか疑問に思われるかもしれません。ここで考えられる4つの原因について見ていきます。
海外需要と価格高騰
日産・スカイラインGT-R(特にR34型)やトヨタ・スープラは、流通している個体数が少なくなっていることもあり、国内市場でも希少車となっています。個体の状態によっては数千万円に達する事例があることから、輸出のために売却する目的の窃盗も後を絶ちません。
セキュリティがもろい
古い車には、イモビライザーやGPS追跡機能が標準的に搭載されていません。そのため、今の車と比べると短時間で盗み出されやすい弱点があります。後付けのセキュリティを装着していても簡単に破られて盗まれてしまう、という事例がSNS上でも散見されています。
部品取りの需要
スカイラインGT-Rのエンジン「RB26」や、スープラなどに搭載されている「2JZ」などのエンジンや純正パーツは、すでにメーカーの生産が終了しています。これらは解体して部品単位で売るだけでも高額になります。
投資対象としての価値
1990年代スポーツカーに限らず、クラシックカー市場では古いスポーツカーは、「趣味」だけでなく「資産」や「投資対象」として扱われます。保存状態が良ければ、新車時以上の価格で売買される例もあります。
実家に眠る車が資産かも?
意外と見落とされがちなのが、親族のガレージや倉庫に放置されている旧車です。25年以上前に製造されたスポーツカーで、書類や主要部品が残っているなら、思わぬ高値がつく可能性があります。古いからといって処分してしまう前に、専門店での査定や市場価格の確認をおすすめします。
まとめ
古い日本のスポーツカーが盗まれる理由は、以下が重なっているために起こります。
・海外での強い需要
・セキュリティの弱さ
・部品単位での価値
・投資対象としての資産性
もし、実家や親族のもとに眠っているスポーツカーがあるなら、それは「ただの古い車」ではなく「動く資産」かもしれません。市場価値を見極め、適切な保管と対策をしていくことが大切です。
※2025/11/17 内容を修正いたしました。
執筆者 : 宇野源一
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