出張の「ホテル・飛行機」を自分で手配する同僚。「マイルやポイントが貯まって得」とのことですが、会社の経費なのに“自分のもの”にして大丈夫でしょうか? ポイントは誰のものか確認
本記事では、出張で得たポイントが誰のものなのか、私的利用の可否と使用の際の税金のリスクについて、分かりやすく解説します。
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目次
出張ポイントの帰属は法律で決まっていない! 会社規程がカギ
出張で貯まったマイルやポイントについて、法律上「誰のもの」という明確な決まりはありません。多くの会社では暗黙の了解として「業務で貯まったマイルやポイントは個人の自由」として扱われているのが現状です。
会社によっては「業務で取得したマイルやポイントは会社に帰属し、次回の出張費に充当する」といったルールを設けているところもあります。つまり、会社の就業規則や出張旅費規程でマイルやポイントの使い方が定められていれば、それに従う必要があります。
会社規程で禁止されている場合は絶対NG! 横領罪になる可能性も
もし会社の規程で「経費で得たマイルやポイントは会社の財産」と明記されていたら、私的利用は絶対にやめましょう。勝手に使えば業務上横領罪に問われる可能性があります。
「規程なんて読んだことがない」という人もいるかもしれませんが、知らなかったでは済まされません。入社時に渡される就業規則や出張旅費規程は、一度は目を通しておくことをおすすめします。
マイルやポイントに税金がかかる? 換金性の高い使い方は課税対象に
通常ポイント利用は「値引き」扱いなので課税されません。しかし、換金性の高い使い方をすると、一時所得として課税対象になる可能性があります。例えば商品券に交換したり現金化したりする場合は、税務上のリスクが高まります。
また、ポイントで株式購入を行った場合は、一時所得の対象とされています。
給与所得者であればその年の一時所得の合計が20万円以下なら原則として確定申告は不要となる制度(20万円特例)があります。ただし、20万円を超える場合は申告が必要です。
副業をしている場合、年末調整を受けていない場合、医療費控除で確定申告をする場合などは20万円特例が使えないこともあります。自分の状況に合わせてポイントを利用しましょう。
トラブル回避のために今すぐできる3つの対策
出張で貯めたマイルやポイントをプライベートで利用する場合には、会社とのトラブルにならないよう、以下の3つの対策を立てましょう。
1. まず自社の規程を確認する
就業規則や出張旅費規程を確認し、マイルやポイントの扱いについて記載があるかをチェックしてください。就業規則を見ても分からない場合は、人事部や総務部に聞いてみるのも良いでしょう。
2. グレーな使い方は避ける
規程がない場合でも、あからさまに自分が得をする使い方は避けたほうが良いでしょう。常識的な範囲での利用が大切です。
3. 会社に規程整備を提案する
マイルやポイントの扱いが不明確な場合、会社に規程の整備を提案するのが近道です。「ポイントは個人帰属とする」「マイルは会社帰属として次の出張費に充当する」など、明確なルールを決めてもらいましょう。ルールが決まれば、出張する社員は規程に沿って行動できるので安心です。
グレーゾーンだからこそ慎重な判断を
出張で貯まるマイルやポイントの帰属は、法律で明確に定められていないグレーゾーンです。会社の規程次第では返還請求や懲戒処分のリスクもあります。
「みんなやっているから大丈夫」という考えは危険です。まずは自社のルールを確認し、グレーな部分は慎重に判断してください。出張で得たマイルやポイントでトラブルにならないよう、賢く活用しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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