コロナで友人が「結婚式」を欠席!“ご祝儀をもらってない”のですが、「キャンセル料」を請求することはできますか? 料理や引き出物は用意済みです…
1人あたりどのくらい費用がかかっているのか? キャンセル料を請求してもよいのか? 後日、ご祝儀をもらうのは非常識なのか? 本コラムでは、このようなお金と人間関係の境目について整理します。
FP2級、AFP、簿記3級
目次
参加者1人あたりにかかる費用は?
人数規模や式場などによって金額は前後しますが、リクルートが実施した「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」によれば、結婚式の費用の相場は340万円程度、参加人数の平均は52名という結果になっています。これを前提に考えると、1人あたりにかかる費用は6万5000円程度となります。
参加者一人ひとりに出す料理や引き出物の費用は、このうちの3分の1程度を占めることが多いでしょう。今回のケースのように直前にキャンセルが出た場合は、費用の支払いは全額発生するケースがほとんどです。つまり、1人の欠席でも、新郎新婦にとっては決して小さくない負担となります。
当日キャンセルした友人にご祝儀は請求できるのか
結婚式に関しては、通常の宴会のようにキャンセル料を参加者に直接請求することは、マナーとしてほとんど行われていないのが実態でしょう。特に、今回のケースのように私的な理由による欠席ではなく、感染症での欠席などの場合は、心象的にも新郎新婦側から欠席者にご祝儀を請求することは、ハードルが非常に高いでしょう。
事実として参加者のために用意した料理や引き出物に関わる費用は発生しているため、請求するかどうかは、相手との関係性や今後の付き合い方も考慮して慎重に判断する必要があります。
一般的に、後日ご祝儀をもらえるケースはある?
では、請求しない場合、後日ご祝儀をもらえることはあるのでしょうか。新郎新婦側から欠席者にご祝儀をもらうための働きかけをすることは実際問題として難しく、もらえるかどうかは欠席した参加者の配慮や誠意、新郎新婦との関係性などに委ねられる部分が大きいでしょう。
一般的には、当日欠席の場合、参加者側は本来参加する際に渡す予定だった金額と同じ額を渡すのがいいとされます。
結婚式に呼ぼうと思える関係性であること、かつ、当日キャンセルに関して参加者はご祝儀を渡すことがベターであるという情報は、さまざまな結婚関係の情報サイトでも紹介されており、新郎新婦側から請求しなくても、当日欠席した参加者からご祝儀をもらえる可能性は低くはないでしょう。
迷惑をかけたほうは誠意を、迷惑を受けたほうは信頼を。大人の向き合い方が大切
結婚式の直前キャンセルは、どうしても「費用」という現実的な問題がついてきます。しかし、お祝いの場はお金の損得だけでは測れない、人と人との思いがこもる時間です。欠席した側は、当日迷惑をかけてしまった分、後日ご祝儀やお祝いの品で誠意を示すことが、なによりのおわびになります。
一方、新郎新婦側は、自分たちの負担があったとしても、「請求しない」ことで相手を信じ、お互いの関係を守ることができます。結婚式は一日限りのイベントですが、友人との関係はこの先ずっと続いていくものです。
だからこそ、最後に残したいのはいくら負担したかではなく、「この人とこれからも付き合っていきたい」と思える信頼ではないでしょうか。
確かにお金は大事です。でも、困ったときに支え合える関係のほうが、ずっと価値があります。今回のようなケースでは、互いの誠意と信頼こそが、最も温かいご祝儀になるのかもしれません。
出典
株式会社リクルート ゼクシィ結婚トレンド調査2024
執筆者 : 大林郁哉
FP2級、AFP、簿記3級
