高校無償化制度、2026年度からどう変わるの? 私立高校の無償金額と自己負担はどれくらい?

配信日: 2025.11.21
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高校無償化制度、2026年度からどう変わるの? 私立高校の無償金額と自己負担はどれくらい?
2026年度から、いわゆる「高校無償化」制度が大きく変わります。これまで所得制限があった授業料支援が、今後は多くの世帯で利用しやすくなり、特に私立高校の負担軽減が期待されています。教育費は家計のなかでも大きな割合を占める支出であり、制度の変化は家庭の判断にも直結しますが、授業料以外の負担が残る点は見落とされがちです。
 
そこで本記事では、制度の変更点と私立高校の支援金額や自己負担の実態を整理し、家計への影響について解説します。
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制度の概要と今回の変更点

高校無償化制度(高等学校等就学支援金制度)は、家庭の教育費負担を減らすために設けられた国の制度です。これまで公立高校では授業料が原則無償、私立高校では一定額まで補助されてきました。
 
今後の大きな変更点は、2026年度から私立高校の授業料に対する所得制限が撤廃され、支援額が全国平均の授業料相当まで引き上げられる見込みであることです。これにより、これまで対象外だった世帯でも支援を受けられる可能性が高まります。
 
一方で、支援の対象はあくまで授業料に限られており、入学金や教材費、通学費などは従来どおり家庭の負担となります。したがって、制度が拡充しても完全に無料になるわけではなく、学校によっては特に初年度の出費が大きいケースもある点に注意が必要です。
 

私立高校の無償金額と自己負担の実際

新制度では私立高校に通う生徒に対して、年間45万7000円を上限に授業料支援が見込まれています。これにより、授業料がその範囲内であれば、実質的に授業料の負担が大きく軽減されることになります。これまで所得制限で対象外だった家庭にとっては、大きな改善となるでしょう。
 
しかし、支援額の上限を超える授業料については、家庭が負担する必要があります。私立高校の授業料は学校によって差が大きく、支援額を上回るケースも少なくありません。
 
文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によれば、私立高校に通う生徒一人あたりにかかる年間学習費総額の平均は75万362円で、このうち授業料は28万8443円です。この金額を例にすると授業料は支援額の上限内に収まっていますが、残りの約46万円は授業料以外の生活費、入学金、設備費、教材費、通学費などの自己負担となります。
 
さらに、入学初年度は制服代や教材費、部活動費、交通費など一度にまとまった支出が発生し、授業料が軽減されても家計のキャッシュフローが一時的に圧迫されることがあります。進学前に支出スケジュールを十分に確認し、計画的に準備をすることが重要です。
 

高校無償化制度を日々の家計にどう生かすか

高校無償化制度の恩恵を最大限に生かすためには、支援の範囲や残る自己負担を正しく理解し、それを学校選びや家計管理にどう反映させるかが重要です。本章では、制度を実際の家計で活用するための具体的なポイントを整理します。
 

1. 無償化=完全無料ではないことを理解する

無償化という言葉から授業料以外も無料になる印象を受けがちですが、実際には授業料のみが支援対象です。特に私立高校では授業料以外の費用が多く発生するため、家計計画は制度を正確に把握したうえで立てる必要があります。
 

2. 選択肢が広がる一方、比較はより重要に

授業料が軽減されることで、これまで経済的に選びづらかった私立高校も選択肢に入りやすくなります。その一方で、授業料以外の支出や学校の教育内容、通学費・通学時間など、選択の基準はより多様になります。制度の恩恵を踏まえつつ、総支出と教育の質をバランスよく見極めることが大切です。
 

3. 家計シミュレーションは早めに

教育費は、数年単位でまとまる大きな支出です。特に高校は3年間でかかる金額が大きいため、支援後の授業料やその他の教育費、通学にかかる費用を早めに見積もり、家計シミュレーションを行うことで将来の負担を把握できます。授業料支援によって浮いた金額は貯蓄に回すなど、家計全体の最適化を図るとよいでしょう。
 

教育費を見える化して、賢く判断しよう

高校無償化制度の拡充は、家庭の教育費負担を軽減する大きなチャンスです。しかし、授業料以外の費用は依然として残っており、学校によっては総額が大きく異なるため、制度の名称だけで判断すると予想外の出費に直面することもあります。
 
進学先を選ぶ際は、授業料支援を前提にしつつも、学校ごとの費用構造を詳しく確認して、家計全体のバランスを考慮しながら判断することが重要です。制度改正を機に教育費の見える化を進め、家計に安心感をもたらす計画的な資金管理に役立てましょう。
 

出典

文部科学省 大切なお知らせ 高校生の学びを支えます。
文部科学省 高校生等への修学支援
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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