たった1年の入居で原状回復費が「7万円」。特に汚していないので敷金で収まると思っていたのに…。これって妥当な金額ですか?

配信日: 2025.11.23
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たった1年の入居で原状回復費が「7万円」。特に汚していないので敷金で収まると思っていたのに…。これって妥当な金額ですか?
賃貸住宅の退去時には、原状回復費として一定の費用が発生します。しかし、その金額は物件の状態や契約内容、入居期間などによって大きく異なるため、請求額を前にして戸惑う人は少なくありません。
 
なぜその金額になるのか、どこまでが自分の負担なのかを判断するには、原状回復の考え方や費用の見積もり方を正しく理解することが重要です。
 
本記事では、原状回復費の基本的な仕組みや費用の捉え方を整理し、退去時の請求額が妥当かどうかを見極めるためのポイントを解説します。
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原状回復費の相場から見た「7万円」の位置づけ

原状回復費は、間取り・面積・築年数・設備状態によって大きく変わりますが、ワンルームや1Kの場合は数万円から十万円弱の範囲に収まることが多く、7万円という数字自体が極端に高いわけではありません。ただし、入居期間が短いほど本来の借り主負担は小さくなる傾向があります。
 
例えば家賃10万円の部屋に1年間住んでいたとすると、支払った家賃総額は120万円です。追加負担が年間家賃の5%を超える場合は、退去費用としてはやや大きめの領域に入ります。
 
特に短期入居の場合、通常損耗の扱いや耐用年数の案分によって本来の負担額が抑えられるケースも多いため、請求内容を一度確認する価値があります。特に大きな汚れはないと感じているのであれば、なぜ7万円になるのかを冷静に見直す必要があるでしょう。
 

借り主が負担すべき場合・負担すべきでない場合

原状回復費は、借り主の故意・過失・注意不足による損耗を補うための費用であり、通常の生活で生じる摩耗や経年劣化は本来貸主側の負担とされています。
 
例えば、タバコのヤニ、ペットによる傷、落下物による明らかな破損などは借り主負担となりますが、日焼けによる壁紙の色あせや家具跡、自然に発生した軽微な汚れは、借り主負担にならないことが多いです。また、壁紙の耐用年数が一般的に6年前後とされており、入居期間が短い場合はその期間に応じた案分で負担額が決まります。
 
例えば、1年の入居なら耐用年数の6分の1程度しか経過していないため、もし壁紙を全面張り替えしたとしても借り主負担は壁紙の交換費用の一部にとどまるのが一般的です。こうした案分が行われているかどうかは、費用の妥当性の重要な判断基準となります。
 

「1年で7万円請求」の妥当性を見極めるポイント

退去時に7万円を請求された場合、まず確認すべきは見積書の内訳です。壁紙の張り替え、床の補修、クリーニング、設備修繕など、それぞれの項目に対し数量と単価が明記されているかが判断のポイントです。
 
「一式料金」などの曖昧な表記では、金額が妥当か判断しにくいため注意が必要です。
 
また、壁紙や床の交換範囲が損傷部分のみなのか、部屋全体に及ぶのかも必ず確認しましょう。例えば一部の汚れで十分であるはずが、全体の張り替えがされている場合は、借り主の負担割合が不当に高くなる可能性があります。
 
さらに、入居時の状態を示す写真や契約書の特約条項が判断材料になります。特に、特約に「通常損耗も借り主負担とする」などの不合理な内容が含まれていれば、負担の妥当性を再検討すべきです。
 
これらを踏まえると、特に汚していないのに7万円の請求は一定の根拠が説明されていないかぎり、高額と感じられるケースが多いです。
 

借り主としてできる対応と支出を抑えるポイント

対応として最も重要なのは、請求書の内訳を詳細に確認し、その内容の合理性について説明を求めることです。数量や単価、施工範囲の明示を求め、必要に応じて相見積もりを依頼するのも有効です。
 
また、入居時や退去時の写真をもとに、通常損耗か過失かを整理したうえで、契約書の内容を根拠に交渉を進めることで不必要な支出を抑えられます。
 
もし説明に納得できない場合は、専門の相談窓口を利用する方法もあります。7万円のうち数万円が軽減されるケースも少なくなく、費用面での精査は大きな効果をもたらします。
 

妥当性を確認し、根拠をもって交渉しよう

原状回復費は請求金額だけでなく、その根拠の明確さこそが重要です。入居1年という短期間での7万円請求が妥当かどうかは、損耗の原因や契約内容、内訳の合理性などを総合的に判断する必要があります。
 
不明点があれば説明を求め、必要に応じて交渉することで、不必要な支出を避けることができます。冷静に状況を整理し、納得できる形で退去費用を確定させるようにしましょう。
 

出典

国土交通省住宅局参事官 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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