無職の息子(45歳)が私の年金に頼って暮らしています。私の死後、遺族年金は一切出ないと聞きました。生活保護は受けられるでしょうか。
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目次
遺族年金は「配偶者・子・親」限定。成人の子には原則なし
まず知っておくべきなのは、「遺族年金」は働ける年齢の子どもには支給されないという現実です。遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」がありますが、どちらも原則として「18歳未満の子(または障害のある子)」を対象としています。
そのため、たとえ親の年金で生活していたとしても、45歳の無職の息子は遺族年金を受け取れません。親の死後は、年金収入が途絶えることになります。
頼れるのは生活保護制度
年金がなくなった後、頼れる公的支援のひとつが「生活保護」です。生活保護は、生活に困窮するすべての人を対象にした制度であり、年齢や性別、職業の有無に関係なく、一定の条件を満たせば受給できます。
ただし、いくつかのポイントがあります。
まず、申請者本人(この場合は息子)が「働けるのに働いていない」場合、自治体から就労を促されることがあります。就労支援を受けながら、求職活動を続けることが生活保護受給の条件になる場合もあります。
また、親族に扶養義務者がいる場合、自治体はその親族に「扶養照会」を行います。しかし実際には、多くのケースで親族の生活にも余裕がないため、「扶養できない」と回答され、生活保護が認められることも多いのです。
生活保護の支給額と暮らしの実際
生活保護の金額は地域や家族構成によって異なりますが、単身者であれば毎月10万円前後が生活費として支給されます。さらに、家賃が別途支給される「住宅扶助」もあります。
たとえば、東京23区内であれば、家賃上限は約5万円(単身世帯の場合)。つまり、合計で15万円前後の支給になるケースもあります。医療費は原則無料で、健康保険料の負担もありません。
決して贅沢な生活はできませんが、「最低限の生活を保障する」制度としては、現実的な選択肢といえます。
注意すべきは「資産」と「相続」
生活保護を申請する際に問題になるのが、「資産」の有無です。
親が亡くなった後に自宅や貯金を相続した場合、それが生活資金とみなされます。たとえば、自宅を所有している場合は、原則として売却して現金化し、そのお金を使い切ってからでないと生活保護を受けられない場合があります。
ただし、「住み続けることが生活上やむを得ない」と判断されれば、自宅を保有したまま生活保護を受けられるケースもあります。これも地域や担当ケースワーカーの判断による部分が大きいので、早めの相談が重要です。
「親の死後」に備えてできること
親が元気なうちに、息子が生活保護を受ける準備を進めることもできます。
地域の「福祉事務所」や「社会福祉協議会」では、生活困窮者自立支援制度を通じて、就労支援や住まいの確保、生活再建の相談に応じています。本人に働く意欲がある場合は、就職に向けた支援も受けられます。
また、親自身が亡くなった後の手続きをスムーズにするために、「エンディングノート」などに年金停止の連絡先や預貯金、保険、公共料金の情報をまとめておくとよいでしょう。
早めの相談が、残される家族を守る
無職の息子が親の年金に頼って暮らしている場合、親の死後の生活は大きな不安材料になります。
しかし、遺族年金がなくても、生活保護などの制度を利用することで、命をつなぐ生活は可能です。
最も大切なのは、問題を先送りにせず、今のうちから「もしも」に備えて動き出すこと。親子で一緒に福祉事務所へ相談に行くことが、安心な老後とその後の生活につながります。
出典
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
