管理費とは別に毎月徴収される「コミュニティ費」。“8割以上”のマンションは「コミュニティ活動」を行っていないそうですが、それでも払い続ける必要がありますか?
住民同士の交流を活発にして住みやすい環境づくりをするのが目的ですが、特に住民同士の交流を重視しておらず、イベントにも参加するつもりがない方にとっては、支払う必要性があるのか疑問に感じるでしょう。
本記事では、コミュニティ費の概要やコミュニティ活動の実施率、脱退手続きなどについて解説します。
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そもそも「コミュニティ費」とは?
「管理費」は建物の共有部や敷地の維持管理・保守・清掃といった共同管理に充てられる費用です。
一方で、「コミュニティ費」は住民同士の交流などを目的としている自治組織の運営費であり、加入が義務付けられた管理組合とは異なります。自治組織単体であれば加入の義務は特になく、脱退も自由と考えられますが、マンションによっては管理組合と自治組織の役割が複合し、ひとつの組織として機能している場合もあるようです。
「コミュニティ活動」を特に行っていないマンションも多い
大和ライフネクスト株式会社が発表した「マンションみらい価値研究所」の調査によると、2022年時点でマンション内コミュニティ活動が「ある」と回答した管理組合は、14パーセントにとどまっています。2016年時点では「ある」と回答した管理組合はおおむね30パーセントでしたが、減少傾向にあるのが現状です。
その背景には、平成28年3月14日に改正された「マンション標準管理規約」内の、いわゆる「コミュニティ条項」の再構成があるとされています。
国土交通省が発表した「標準管理規約・同コメント(単棟型)」では、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」を拡大解釈しているケースについて言及されました。
管理組合と自治会や町内会等を混同して自治会費を管理費に一体化させ、管理費という名目で徴収している事例や、自治会的な活動の管理費の支出を巡って意見の対立やトラブル等が生じている実態があったことが明らかになっています。
これにより、実際にコミュニティ活動が禁止になったわけではないものの、前記の問題へ対応するために「コミュニティ条項」が再整理されました。これをきっかけに、コミュニティ活動そのものが減っていった可能性が考えられるでしょう。
「コミュニティ活動」を重視しない場合は「書面で脱退を通知」するのも手
コミュニティ費を払いたくない場合、責任者にその旨を申し出て自治組織を脱退するのが穏当です。しかし、口頭だけでは「言った・言わない」の争いに発展する可能性もあるため、書面で通知するのが望ましいでしょう。
また、マンションによっては、「コミュニティ条項」で問題とされた例に近い、管理組合と自治組織が一体の組織になっている場合もあるので注意が必要です。その場合、区分所有者は管理組合に該当する部分から脱退することはできないため、「管理組合の部分以外のところから脱退する」という複雑な形になります。
さらに、会費の中の「管理組合のための費用」「コミュニティ費」の割合が明確でないケースだとトラブルに発展する可能性もあるかもしれません。管理組合とよく話し合ったうえで、当事者間で合意に至らない場合には訴訟や調停といった法的な手段を検討するのもひとつの方法です。
まとめ
管理組合に加入して管理費を支払うのは義務ですが、自治組織であるコミュニティからは脱退することが可能です。管理組合と自治組織が一体化していないかを確認してコミュニティのみから脱退するように注意するとともに、脱退の旨は書面で通知するようにしましょう。
出典
e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律 第三条
国民生活センター 暮らしの法律Q&A バックナンバー(国民生活) 2023年5月号(No.129)第131回 マンションのコミュニティ運営費を払いたくない場合は?
マンションみらい価値研究所 失われるマンションのコミュニティ活動|レポート
国土交通省 住宅:マンション標準管理規約・同コメント(単棟型) 第27条関係(24~26ページ)
国土交通省「マンションの管理の適正化に関する指針」及び「マンション標準管理規約」改正事項一覧
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
