物議を醸した「銀行ATMの封筒」の転売。“300円以上”で取引成立した事例もあるようですが、「窃盗罪」に問われる可能性も!?

配信日: 2025.11.29
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物議を醸した「銀行ATMの封筒」の転売。“300円以上”で取引成立した事例もあるようですが、「窃盗罪」に問われる可能性も!?
利用者の利便性をはかるために無料で提供されている備品は多くあります。小売店のサッカー台にある「ロール状ポリ袋」、飲食店の「割り箸」「つまようじ」、銀行ATMコーナーの「封筒」……これらを大量に持ち帰り、転売する行為は許されることではありません。
 
本記事では、この問題の背景と法的なリスクについて詳しく解説します。
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「銀行ATMの封筒」の転売が話題に

各金融機関のATMコーナーには封筒が設置されていることが多く、顧客は自由に利用できます。
 
そんな中、株式会社メルカリのフリマアプリ「メルカリ」では、ある銀行の新品・未使用封筒150枚が出品され、360円で取引される事案が発生しました。SNS上では良識やマナーを疑う声が上がり、同様の事案とともにメディアにも取り上げられています。
 
前記の封筒は送料の210円込みの価格であり、実際の利益は取引価格の半額にも満たないでしょう。もちろん、無料の物品を持ち去ること自体が迷惑行為であり、まねをするのは賢明ではありません。
 

転売目的の持ち去りは「窃盗罪」に問われる恐れも

封筒に限らず、銀行の備品を通常の利用目的や社会通念上許容される範囲を明らかに超えて大量に持ち帰る行為は「銀行の所有物を許可なく自分のものにする意思がある」とみなされ、「窃盗罪」に問われる恐れがあります。
 
例えば、無料配布のチラシを「広告の目的を超えて」大量に持ち帰る行為も、場合によっては窃盗罪にあたる可能性があるとされています。
 
特に転売を目的としてATMの封筒を持ち去った場合は、本来の提供目的を逸脱していると評価され得るため、刑法第235条に「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」と定められている通り、窃盗罪として拘禁刑や罰金刑が科される恐れがあります。
 

「良い転売」と「悪い転売」の違いとは?

「転売」という行為は、メーカーと小売店を仲介する「卸売」に類似していると捉えられる場合もありますが、「卸売」は大量に仕入れた商品を小売店に販売し、適正価格で流通させる役割を担っているのに対し、「転売」は個人が少量を仕入れて、通常は個人に販売し、利益を得るという違いがあります。
 
また、転売行為の中には、すでに小売で販売されている商品に対して買い占めを行うことで、本来の流通経路が阻害される場合があります。このようなケースでは、転売品から購入するユーザーは「二度手間」かつ「高値」で購入することになってしまいます。
 
「安値」であれば良い転売ということではなく、メーカーの想定した流通経路を阻害し「本来商品を入手すべきユーザーの手にわたる機会を奪っている」という事実は変わりません。不当な転売や禁止商品の販売が見受けられた場合は、運営会社に報告するなどの対処をした方がよいでしょう。
 

まとめ

ATMに設置されている封筒は、銀行が利用者の利便性のために無料で提供している備品であり、銀行の所有物です。
 
あくまで利用者が「必要な分だけ」利用するためのものであり、通常の利用範囲を超えて必要以上に大量に持ち去る行為は、「窃盗罪」に問われる可能性もあります。不当な転売や禁止商品の販売が見受けられた場合には、運営会社に報告するなどの対処をした方がよいでしょう。
 

出典

e-Govポータル法令検索 刑法(明治四十年法律第四十五号) 第二編 罪 第三十六章 窃盗及び強盗の罪 第二百三十五条(窃盗)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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