生活保護受給中の親が「スマホが故障した」と言います。機種変更や修理代は支援の対象になるでしょうか?
しかし、スマートフォンは高額な品であり、生活保護制度の中でどのように扱われるのか疑問を感じる人も多いでしょう。本記事では、生活保護受給者がスマホを修理・買い替える場合に支援の対象となるか、また注意すべきポイントを整理します。
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目次
スマホは「生活必需品」として位置づけられている
かつては携帯電話が「嗜好品」と見なされることもありましたが、現在では行政もスマホを「生活必需品」として認識しています。役所との連絡、求人情報の確認、就職活動、学校や医療機関からの連絡など、スマホは社会生活に欠かせないツールになっているためです。
したがって、生活保護を受けている人がスマホを持つこと自体は問題ありません。むしろ、連絡手段として保有が認められており、通信費も「通信費」として生活扶助の範囲で支出できます。
修理費や機種変更は原則「自己負担」
ただし、スマホが壊れた際の修理や機種変更については注意が必要です。
生活保護では、生活に必要な費用は「生活扶助費」の中でまかなうのが基本であり、原則として別途の支給は行われません。つまり、修理代や新しい機種の購入費用は基本的に自己負担になります。
たとえば、画面割れやバッテリー不良などの一般的な故障は「日常生活上の支出」として扱われるため、生活扶助の範囲でやりくりすることが求められます。また、高価な最新機種を購入する場合は「必要性が低い」と判断され、支給対象にはなりません。
例外的に支援されるケースもある
とはいえ、全て自己負担とは限りません。以下のような「例外的な事情」がある場合には、自治体が判断して費用の一部または全額を支給することがあります。
・修理や機種変更が生活維持に不可欠な場合
就労支援の連絡がスマホ経由で行われている、医療機関との連絡手段がスマホしかないなど。
・やむを得ない故障で修理費が高額な場合
修理不能や水没などで使えなくなり、安価な代替手段もないときに、役所が「臨時扶助」などで対応することがあります。
・生活保護の決定や申請連絡にスマホが不可欠な場合
特に高齢者や単身世帯では、緊急連絡手段としての必要性が認められることがあります。
このような場合、支援を受けるには「福祉事務所への事前相談」が必須です。自己判断で購入したあとに申請しても、後から支給が認められることはほとんどありません。
修理・買い替え時の注意点
1.まずケースワーカーに相談すること
「故障したのでどうすればよいか」を説明し、修理の見積書や購入予定の機種を提示しましょう。必要性が認められれば、臨時的な支給や貸付の案内を受けられる場合があります。
2.中古や格安機種の利用を検討する
支援が難しい場合は、安価な中古スマホや格安SIMを利用することで負担を抑えられます。行政側も「必要最低限の通信手段」として安価な選択肢を推奨しています。
3.通信費の契約内容にも注意
高額なプランを利用している場合、指導を受けることがあります。生活保護受給者は、基本的に低価格プランやプリペイド型の契約が望ましいとされています。
支援の可否は「必要性」と「相談のタイミング」で決まる
スマホの修理や機種変更が支援の対象になるかどうかは、「生活にどれだけ必要か」と「事前に相談したか」で判断されます。単に「新しい機種にしたい」「使い勝手が悪くなった」という理由では支給されませんが、連絡手段として欠かせない事情があれば、行政が柔軟に対応してくれる場合もあります。
生活保護制度は、「最低限度の生活を保障し、自立を支援する」ための仕組みです。困ったときは一人で抱え込まず、まず担当ケースワーカーに相談し、状況を丁寧に説明することが最も大切です。
出典
生活保護サポートセンター 生活保護で携帯電話、スマホは持てますか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
