自転車で車道通行するのは怖いので、歩道を通行しています。2026年4月から自転車の交通違反について反則金が発生すると聞きましたが、歩道の通行も違反になりますか?
本記事では2026年4月より導入される、16歳以上の自転車運転者の交通違反に対する交通反則通告制度(青切符)において自転車の歩道通行がどのように扱われるのかをご紹介します。
MS&ADインターリスク総研 主席研究員、東北大学大学院国際文化研究科招聘講師、英Cardiff Business School MBA
専門領域:食料安全保障、マイクロファイナンス、超高齢社会
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目次
交通反則通告制度(青切符)導入についての自転車ユーザーの認識
自転車の一定の交通違反に交通反則通告制度を導入すること等を内容とする「道路交通法の一部を改正する法律」が2026年4月から施行され、自転車の交通違反で検挙された後の手続きが大きく変わります。
具体的には、16歳以上が運転する自転車の交通違反に対して、交通反則通告制度(青切符)が導入され、信号無視に対して6000円、携帯電話使用等(ながらスマホ)に対して1万2000円などの反則金が課されます。
MS&ADインターリスク総研株式会社が2025年8月に自転車ユーザー1000人に対して実施したアンケート調査では、交通反則通告制度が導入されることについての認識の有無について聞いています。
図表1にあるように、「全く知らない」と「よく知らない」の合計は35.1%でした。同制度の導入は自転車ユーザーにとってとても重要なことですが、その認識がこのような状態で2026年4月を迎えると、混乱が起きかねません。
【図表1】2026年4月より交通反則通告制度(青切符)が導入されることについてご存じですか
出典:MS&ADインターリスク総研株式会社「自転車ユーザーの意識と運転の実態について ~アンケート調査結果より(2025年版)」
自転車の歩道通行に対する反則金について自転車ユーザーの評価
自転車は「軽車両」と位置付けられ、自動車と同じ「車両」の一種です。歩道のある道路では、原則として車道を通行しなければなりません。したがって、交通反則通告制度においては、自転車による歩道通行の反則金として6000円が科されることになっています。
前述のアンケートでは、自転車ユーザーにその金額に対する考えを聞いています。最も多かった回答は「高すぎる」で55.9%でした(図表2)。この結果から、歩道通行の反則金に対する自転車ユーザーの不満がうかがえます。
警察庁によれば、交通反則通告制度に関するパブリックコメント(意見公募)において約6000件の意見が寄せられ、このうち約4000件が自転車の歩道通行の取り締まりに関する批判だったそうです。
【図表2】「歩道通行」の反則金6000円が導入されることについて、どのようにお考えですか(n=1000)
出典:MS&ADインターリスク総研株式会社「自転車ユーザーの意識と運転の実態について ~アンケート調査結果より(2025年版)」
自転車が歩道を通行できるときは?
自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められる場合には、自転車は歩道を通行することができます。
警察庁によれば、道路工事や連続した駐車車両等のため車道の左側を通行することが難しいときや、著しく自動車の交通量が多い、車道の幅が狭いなど、通行すると事故の危険があるときなどは、自転車は歩道を通行できるとしています。
自転車の歩道通行が取り締まり対象になるときは?
警察庁は自転車の歩道通行について、基本的に「悪質・危険な行為」が自転車の取り締まり対象となるとしています。単に歩道を通行しているというだけでは、基本的に取り締まりの対象とはならないということです。
まとめ
これまで述べた通り、自転車が歩道を通行しても、すべての場合で反則金が科されるわけではないことが示されています。しかし、それでも、自転車の車道通行の原則は変わりません。歩道を通行する際は、徐行および歩行者への配慮をし、安全運転を心掛けましょう。
出典
MS&ADインターリスク総研株式会社 自転車ユーザーの意識と運転の実態について~アンケート調査結果より(2025 年版)
警察庁「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集結果について
警察庁 自転車を安全・安心に利用するために -自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入- 【自転車ルールブック】
執筆者 : 新納康介
MS&ADインターリスク総研 主席研究員、東北大学大学院国際文化研究科招聘講師、英Cardiff Business School MBA


