72歳母がスーパーの出張買取で「指輪を売った」ことを後日知りました。相場より安い気がするのですが、取り戻すことはできませんか?

配信日: 2025.11.30
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72歳母がスーパーの出張買取で「指輪を売った」ことを後日知りました。相場より安い気がするのですが、取り戻すことはできませんか?
高齢の家族が、よく分からないまま貴金属を業者に売ってしまった。近年、こうした相談が全国で増えています。とくに「スーパーの特設会場」や「催事スペース」での出張買取は、気軽さと場の雰囲気につい身構えにくく、思わぬトラブルにつながることがあります。
 
今回のケースのように、本人が売った後で家族が知り、「相場より安い気がする」「取り戻せないのか」という不安を抱くのは当然です。では本当に取り戻せる可能性はあるのでしょうか。本記事では法律の観点と、実際に取るべき行動を詳しく解説します。
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買取成立後は取り戻しが難しい

まず押さえておきたいのは、一度契約が成立した買取は、原則として取り消しができないという点です。売主が高齢者であっても、「自分の意思でサインした」「代金を受け取った」という事実があれば、法律上は契約として有効と判断されます。
 
しかし、これであきらめる必要はありません。実は例外的に取り戻せる可能性が残されているケースがあります。
 

例外的に取り戻せる可能性がある3つのパターン

1.クーリングオフが適用できる場合

出張買取では、訪問販売と同じくクーリングオフ制度の対象となります。
 
ただし、今回のような「スーパーの特設会場で自ら行った買取」は訪問販売ではないため、原則クーリングオフの対象外です。
 
しかし、以下のような要素があると、クーリングオフ主張の余地が出てきます。
 

・実質的に「呼び止め」や「強引な勧誘」があった
・その場の説明が不十分だった
・本人が正常な判断ができない状況にあった

 
状況によっては、消費生活センターが業者に返却交渉をしてくれる可能性があります。
 

2.不当な買取(相場の著しい乖離)が疑われる場合

「18金の指輪を○万円で売ったが、相場と比べて半額以下だった」など、明らかに著しく安い買取価格だった場合、業者の不誠実な取引として問題視されることがあります。
 

3.高齢者への不当勧誘(優良誤認・不実告知)があった場合

高齢者を狙った悪質な買取は社会問題になっており、国民生活センターでも高齢者を中心とした訪問購入トラブルなどの相談が増えています。
 

・「今だけ高く買い取ります」と誇大に説明
・「金の価値が下がるから、今売るべき」と不安をあおる
・売る意思を明確にしていないのに査定後にせかす

 
こうした行為があった場合、契約そのものが取り消し可能となる場合があります。
 

実際に指輪を取り戻したい場合の手順

取り戻す可能性を少しでも高めるために、次のステップを踏むことをおすすめします。
 

1.売却時の情報を集める

・買取明細
・業者名・電話番号
・買取価格
・売却日時

 
これらは非常に重要な証拠になります。
 

2.すぐに消費生活センターに相談

必ず第三者機関を介して交渉することがポイントです。家族が直接交渉すると、業者は取り合わないケースが多いですが、消費生活センターが入ると態度が変わる業者は非常に多いです。
 

3.本人の判断能力について説明

「母が業者の説明を十分理解できない状態だった」「十分な説明を受けずに焦らされて契約した」など、当時の状況を詳しく伝えてください。

 

完全に取り戻せる保証はないが、可能性は十分ある

残念ながら、買取契約は一度成立すれば取り消しが難しいのは事実です。
 
しかし、“不当な取引の疑い”がある場合は、返却に応じてもらえるケースが多いのも現実です。高齢者を狙った悪質な買取が増える中、行政も問題視しており、「ダメ元で相談したら返却された」という例が全国で報告されています。
 
まずは消費生活センターへ連絡してみるとよいでしょう。時間が経つほど取り戻す可能性は低くなるため、早めの行動が重要です。

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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