生活保護の申請を考えていますが、生活に必要な車を手放したくなくて悩んでいます…手放さなくていいケースはありますか?

配信日: 2025.11.29
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生活保護の申請を考えていますが、生活に必要な車を手放したくなくて悩んでいます…手放さなくていいケースはありますか?
生活保護の申請を検討するとき、多くの人が真っ先に気にするのが「車を手放さなければならないのか」という点です。
 
特に地方では、通勤や買い物、通院などに車が欠かせず、手放すことへの不安が大きい方も少なくありません。一方で、生活保護は“最低限度の生活を保障する制度”であるため、資産の扱いには明確なルールがあります。
 
本記事では、制度の考え方や家計のバランスの両面から、車を維持できる可能性について整理していきます。
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制度面で押さえておきたい、車は原則資産という考え方

生活保護では、預貯金や保険、不動産といった資産を生活維持のためにまず活用することが求められています。車も同じく資産とみなされ、売却すれば生活費に充当できると判断されるため、原則として手放さなければなりません。
 

車を手放さなくていいと判断される主なケース

生活保護制度には原則がある一方で、生活実態によっては例外的に車の所有が認められることもあります。本章では、どのような事情が該当しやすいのか、主な3つのポイントを紹介します。
 
1. 通勤に車が不可欠な場合
公共交通機関が乏しい地域や深夜・早朝勤務などで電車やバスが利用できない場合、車が就労継続のために必要と認められることがあります。生活保護は「働ける人が働き続けられること」を重視するため、就労維持は合理的な理由になります。
 
2. 通院・介護など、日常生活の維持に必要な場合
疾患や障害により公共交通機関が利用できない、もしくは通院頻度が高く移動の負担が大きい場合などは、生活維持のために車が不可欠と判断されることがあります。
 
3. 資産価値や生活保護費を使わずに維持できる場合
年式が古く資産価値がほとんどない車であれば、売却しても生活費にほとんど寄与しないと判断されることがあります。また、維持費を家族からの支援や就労収入で賄え、生活保護費を使わずに車を維持できる場合は生活扶助を圧迫しないため、例外的に所有が認められる可能性があります。ただし、生活全体の収入が保護基準を下回っていることが前提となります。
 
なお、保護費の支給条件や審査は自治体により異なる可能性があるため、車所有を希望する場合は事前に福祉事務所などへ相談しましょう。
 

家計全体を踏まえて整理したいポイント

生活保護の申請を考える際には、車そのものの扱いだけでなく、家計の状況や費用の負担がどのようになっているかを整理しておくことが大切です。本章では、車の所有可否に影響しやすい主なポイントを3つ紹介します。
 
1. 車の資産価値と売却可能性
申請前に、自分の車がどの程度の価格で売却可能かを把握することは重要なポイントです。年式が新しい、走行距離が短い、市場価値が高いなどの場合は、処分を求められやすくなります。ローンが残っている場合は、負債との関係も申請時に説明する必要があります。
 
2. 年間・月次の維持費を把握する
生活保護は、最低限度の生活を保障する仕組みです。車の維持費が生活扶助の範囲を超える場合は、所有を認められにくい傾向があります。税金や保険料、車検費用、燃料代などの維持費を合算し、現実的に維持可能かを冷静に判断しましょう。
 
3. 車所有を続ける場合の費用計画
もし車を維持したいのであれば、維持費をどこから捻出するのかを具体的に示す必要があります。就労収入で賄えるのか、家族の支援があるのか、公的扶助に頼らない形で説明できれば、所有継続の説得力は高まります。
 
なお、生活保護費は車の維持費に充てることはできないため、維持費は自己資金または支援で賄うことが前提です。
 

生活保護の申請に向けて、車の必要性と制度の条件を整理しよう

車の所有は生活保護申請の大きなハードルとなりますが、「通勤・通院で不可欠である」「公共交通手段の代替手段がない」「資産価値が低い」「維持費を受給費に頼らず賄える」といった条件がそろえば、例外として認められる可能性があります。
 
重要なのは、生活保護制度の原則を理解したうえで、自身の生活環境や収支状況を把握し、その根拠を福祉事務所へ適切に説明することです。申請前に相談することで、自分のケースが例外に該当するかどうかを具体的に確認でき、安心して申請へ臨むことができるでしょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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