「Spotify」や「AppleMusic」などの音楽コンテンツで「CD」の売れ行きはどう変化した?歌手の収入源の変化とともに見てみる
かつては、多くの人がCDを通じて音楽を楽しんでいました。ミニコンポやCDウォークマン、パソコン、車のCDプレーヤーなど、CDを再生する機器がさまざまあり、自宅にたくさんのCDを集めていたという人も多いでしょう。
しかし近年では、CDの代わりにスマホやタブレットなどに楽曲をダウンロードしたり、ストリーミング再生したりするケースが多くなっています。代表的なサービスとしては、「Spotify」や「AppleMusic」などが挙げられます。
本記事では、これらの音楽配信サービスの台頭により、CDの売れ行きにどのような変化が起きたか見ていきましょう。
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目次
音楽コンテンツの配信サービスの特徴
SpotifyやAppleMusicは、サブスクリプションサービスです。一定の料金を支払って、プランに応じた音楽コンテンツを楽しめます(無料プランもあり)。
これらの音楽配信サービスでは、インターネットを通じて、スマホやタブレット、テレビ、車の音楽プレーヤーなどさまざまなデバイスでコンテンツを視聴できます。
CDのように特定の媒体をセットする必要はなく、手元の操作で簡単に楽しめることが特長です。
CDの生産はピーク時より大幅に減少している
表1に、CD(8センチシングルおよび12センチメートル)の生産量の推移をまとめました。
表1
| 年 | 生産量(8センチメートル) | 生産量(12センチメートル) |
|---|---|---|
| 1990年 | 6182万枚 | 1億6912万9000枚 |
| 1995年 | 1億6458万1000枚 | 2億7536万9000枚 |
| 2000年 | 3312万4000枚 | 1億460万1000枚(シングル) 2億7632万7000枚(アルバム) |
| 2005年 | 194万3000枚 | 6274万5000枚(シングル) 2億3711万6000枚(アルバム) |
| 2010年 | 10万7000枚 | 5050万3000枚(シングル) 1億5592万9000枚(アルバム) |
| 2015年 | 3万8000枚 | 5510万6000枚(シングル) 1億1269万6000枚(アルバム) |
| 2020年 | 2万6000枚 | 3261万3000枚(シングル) 7129万3000枚(アルバム) |
| 2024年 | 32万6000枚 | 4万1656枚(シングル) 6252万3000枚(アルバム) |
出典:一般社団法人 日本レコード協会「日本のレコード産業 2025」を基に筆者作成
2000年には約4億1400枚ほど生産されていましたが、2020年には約1億390万枚、2024年には約6290万枚の生産にとどまっています。一時期の生産量に比べて、現在では明らかに生産数が下がっています。
音楽配信サービスの売り上げが顕著になっている
売り上げについても見ていきましょう。表2に、CD(8センチシングルおよび12cm)の売り上げ金額と、音楽配信サービスの売り上げ金額をまとめました。
表2
| 年 | CD (8センチメートルおよび12センチメートル) |
音楽配信サービス |
|---|---|---|
| 2015年 | 2300万円(8センチメートルシングル) 416億6500万円(12センチメートルシングル) 1384億2200万円(12センチメートルアルバム) |
470億7300万円 |
| 2020年 | 18万円(8センチメートルシングル) 306億2200万円(12センチメートルシングル) 962億9800万円(12センチメートルアルバム) |
782億5500万円 |
| 2024年 | 2億4100万円(8センチメートルシングル) 420億600万円(12センチメートルシングル) 979億9100万円(12センチメートルアルバム) |
1233億100万円 |
出典:一般社団法人 日本レコード協会「日本のレコード産業 2025」を基に筆者作成
2020年と比較すると2024年は売り上げがアップしています。しかし2015年と比べると、CDの売り上げは数百億円少ないようです。生産量の減少とともに、売り上げも少なくなっていることが考えられます。
一方音楽配信サービスについては、2024年は2015年と比較して大きく売り上げが伸びています。日本レコード協会によると、11年連続のプラス成長です。
CDの需要も一定程度見込まれている
最近の傾向では音楽配信サービスが人気とはいえ、CDの需要もある程度存在するといえます。
配信サービスは基本的にデータを扱うサービスであるのに対し、CDは手元に残せることが魅力です。CDのジャケットをコレクションしたり、特別なイベントへの応募チケットを入手したりと、CDならではの楽しみ方があります。
表2で見たように、直近の動向を見ると、CDの売り上げは減少の一途をたどっているわけではありません。今後も、CDの需要が少なからず見込まれると考えられます。
CD需要は低下傾向にあるが根強いニーズは見込まれる
「Spotify」や「AppleMusic」などの音楽配信サービスが近年高い人気を誇っている一方、CDの生産や売り上げは一時期よりも減少傾向にあります。
しかし、売り上げが上昇に転じるなど、一定の需要が存在することも確かであり、今後すぐにCDが市場から消え去ってしまうことは考えにくいでしょう。
出典
一般社団法人 日本レコード協会 日本のレコード産業 2025 1、7、8、9、11ページ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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