京都市役所が「無関係な他人の口座」を差し押さえ!「京都に住んだことないのに…」いったいナゼ!? 後日“謝罪・差押え解除”されたけど、実は「差押え取り消し」が適切だった?
本記事では、話題となった投稿を取り上げ、誤って銀行口座を差し押さえられたら、どのような影響があるのかを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
京都市役所から誤って銀行口座を差し押さえられた投稿が話題に
2025年10月27日に「銀行口座から預金が全部消えた」という投稿が話題になりました。身に覚えがないため銀行に問い合わせたところ、京都市役所に差押さえされていることが分かったとの内容です。
銀行から教えられた番号の京都市市税事務所に電話すると、「同姓同名で間違えた」との回答だったとのことです。ほかにも同姓同名のケースで同じようなミスが起こっており、簡単な手違いで差押さえされてしまうことが分かります。
後日京都市役所が謝罪・差押さえ解除を通知
問題が起きてから数日後の2025年10月31日、京都市役所は、誤って差押さえした人への謝罪と差押さえ解除を発表しています。報道発表資料には、「今後の対応について協議中です」と記載されているものの、結局は謝罪の手紙のみでした。
京都市役所から2025年11月4日付で送られた手紙では謝罪しかしておらず、再び投稿された内容には「個人情報流出の件はどうした?」と書き込まれていました。京都市は、税金を滞納していた人に、今回誤って差押さえされた人の住所や口座番号などが記載された書類を送付しており、個人情報を流出させています。
情報が広がりやすい昨今、個人情報が流出するのはリスクがあり、腹立たしいことでしょう。その後、特に発表や投稿がないため、大問題にはなっていないと想像されますが、あってはならないことが起きた一件です。
「差押さえ解除」だと生活に影響がある?
京都市は、差押えを解除したと発表しましたが、生活に何か影響があるのでしょうか。実は税金の滞納で銀行口座を差押えされても、信用情報への影響は少ないとされています。信用情報とは、クレジットカードや各種ローンの利用状況が記録されている個人情報です。
長期間の滞納や債務整理などをすると、金融事故の履歴が信用情報に残り、一定期間金融商品の審査に通るのが難しくなります。差押えの対象は、預金や給与に対しておこなうため、銀行口座が対象です。
クレジットカードや各種ローンの利用履歴は、信用情報に残りますが、銀行口座の記録情報は共有されていません。新しくクレジットカードやローンに申し込む場合、差押えされた口座以外を利用すれば、審査に影響はないでしょう。
ただし、銀行の審査基準は公表されていないため、差押え解除がどのような影響があるのかは分かりません。銀行口座に差押えが記録されているのですから、まったく影響がないとはいい切れないでしょう。
「差押さえ取消し」であれば大丈夫?
信用情報に影響が少ないとはいえ、差押え解除で問題はなかったのでしょうか。差押え解除のほかに、差押え取消しという手続きもあります。
差押え解除は本来、差押えの必要がなくなったときにする手続きです。一方、差押え取消しは、根拠に問題や誤りがあったときなどに、差押え自体を法的に無効にする手続きです。
今回の件であれば、差押え取消しが妥当だったと考えられます。差押え取消しであれば、差押え自体がなかったことになるため、差押え解除よりも安心して生活できるでしょう。
まとめ
今回のケースから、同姓同名というだけで誤って銀行口座を差押えられる可能性があるということが分かります。自身で気をつけようがないですが、身に覚えもないにもかかわらず銀行口座を差押えされたら、早急に銀行や自治体に連絡する必要があります。
今回のようなケースを知っておけば、万一のときにもスムーズに対応できるのではないでしょうか。自治体には、今回のような件が起きないよう、チェック体制の徹底を願うばかりです。
出典
国税庁 第80条関係 差押えの解除の手続
京都市情報館 市税の滞納処分の誤り
執筆者 : 藤岡豊
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
