息子の「滑り止め大学」に“入学金23万円”を払う予定です。もし「本命校」に合格しても“返金は不可”って本当ですか!? 入学しないので、お金は返してほしいです…
本記事では、入学辞退に伴う入学金の返金について詳しく解説します。
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目次
滑り止めの大学にも入学金の支払いは必要?
大学受験では、第1志望の大学のほかに、第1志望校が不合格だった場合の滑り止めとして何校かを受験するのが一般的です。しかし、この場合に問題となるのが、入学金の二重支払いです。
この問題の根本的な原因は、各大学の入試日程の違いにあります。
例えば、私立大学の多くは、1月下旬ごろから一般選抜を開始し、2月中旬ごろには合格発表を行います。一方、国公立大学の前期日程試験は、例年2月下旬に実施され、合格発表は3月上旬です。
そして、多くの大学では、入学金の納入期限が合格発表から通常1~2週間以内と、タイトに設定されています。入学金の支払期限を過ぎてしまうと、たとえ合格していても入学資格を失ってしまいます。
すると、国公立大学と私立大学を両方受験する人は、国公立大学の合格発表前に私立大学に入学金を支払わなければなりません。私立大学を2校以上受験する人で、本命校の合格発表前に滑り止め校の納入期限がある場合も同様です。
つまり、第1志望に不合格となった場合の保険として、滑り止めの入学権利を確保するためには、たとえ進学しない可能性が高くても入学金を納入する必要があります。
大学入学金の平均額
文部科学省の2023年度の調査によると、私立大学における入学金の平均額は約24万円です。ただし、医療系学部の入学金は約100万円と、かなり高額となっています。
仮に、滑り止めを複数確保しておこうと思ったら、少なくとも50万円近くの入学金を負担しなければなりません。
本命校に合格した場合、滑り止めの入学金は返金される?
結論からいうと、滑り止め校の入学を辞退しても、今回のケースの入学金23万円は返金されない可能性が高いでしょう。過去の判例においても、入学辞退者に対して、入学金を返金しないことが認められています。
しかし、少数ではありますが、入学金の返金に応じている大学もあります。詳しくは、各大学の募集要項を確認してみましょう。
入学金の返金が可能な場合に必要な手続き
入学金は基本的に返金されませんが、例外的に大学側が返金を認めていれば、納めた入学金を返してもらえる可能性があります。
入学金を返金してもらうためには、各大学が定める申請書類の提出が必要です。また、多くの場合、この申請の締め切りは3月31日とされています。国公立大学と私立大学を両方受験する場合、国公立大学の合否が出たら、速やかに手続きを行うことが大切です。
なお、返金申請が受理されてから、実際にお金が返ってくるまでには、おおよそ1~2ヶ月かかります。
文部科学省による入学金の負担軽減に向けた働きかけ
文部科学省は、入学金の二重支払い問題による家計の負担を軽減するため、2025年6月26日付で、全国の私立大学に「私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について」という通知を出しました。
通知では、私立大学に対して、以下の内容を検討し必要な対応を取ることを求めています。
1.各大学が設定している入学料の額や納付時期等の趣旨や考え方について、学生や保護者をはじめとする社会の理解を得られるよう、積極的に説明すること。
2.学生の経済的な負担軽減を図る観点から、入学料の額の抑制に努めること。
3.入学しない学生の納付する入学料に係る負担軽減のための方策を講ずるよう努めること。
文部科学省 私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について(通知)
この働きかけにより、今後の大学受験では、私立大学側が入学金の納付について柔軟な対応を取ることが期待されます。
文部科学省としては、2026年度入試(令和8年度入試)に間に合わせるよう、各私立大学が検討することを求めており、今後の各大学の対応に注目が集まります。
一度支払った入学金は原則返金されない
結果的に第1志望に合格したとしても、滑り止め校に支払った入学金は、原則的に返金されません。過去の判例でも認められており、多くの大学は返金に対応していないのが現状です。
しかし、文部科学省が全国の私立大学に通知を出していることもあり、今後は入学金の納付について柔軟な対応が期待されます。
出典
文部科学省 令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について
文部科学省 私立大学における入学料に係る学生の負担軽減等について(通知)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
