「東京は保育料ゼロ円」というママ友にモヤ…川崎のわが家は「月8万円」払ってます。ただ“多摩川を超えただけ”で「100万円」も差が出るなんて、理不尽ではないでしょうか? 統一されない理由とは
都内に在住する18歳以下の子どもに対し1人当たり月額5000円を支給する「018サポート」や、公立の小中学校の学校給食費無償化など子育て支援に力を入れています。
これらの子育て支援は、都独自の制度ですので、神奈川県や千葉県など東京都近郊の県に住む人たちは、サポートを受けることができません。多摩川を挟んで大きな格差が生まれていることから、「多摩川格差」などと呼ばれています。
本記事では、多摩川を挟んで東京都と神奈川県ではどれくらいの金額の差が生じるのか、なぜ都道府県により子育て支援の手厚さが異なってしまうのかについて解説します。
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多摩川格差はどれくらいの金額差が出る?
多摩川格差で、実際どれくらいの金額差が発生しているのでしょうか? 東京都に隣接している神奈川県川崎市に住んでいる場合を例として、計算してみましょう。
まず、0~2歳の子どもを保育園に預けると、川崎市だと収入に応じて最大月8万2800円の保育料がかかります。4月生まれの子どもを、1歳から保育料が無償化になる年少まで入園させた場合にかかる保育料の総額は最大約298万円です。
東京都では公立小学校・中学校の給食費は無償化していますが、川崎市では小・中学校の9年間で合計53万8034円の負担が生じます。
東京都で実施されている「018サポート」も、都民以外は受けることができません。そのため、東京都民と神奈川県民では子ども1人につき約100万円の差が生じると言えます。
保育料の約298万円と給食費の約53万円、018サポートの約100万円を合わせると総額は約451万円になります。東京都は家賃など物価が高いと言われていますが、多摩川格差で生じる金額の差が大きいことから「子育て世帯は東京に住んだほうが得なのでは?」とも言われるほどです。
国で統一されているルールに自治体が独自制度を上乗せしている
住んでいる場所により保育料や給食費など保護者の金銭的負担が大きく違っていると分かると、「ずるい!」と感じてしまうのも無理はないかもしれません。
実際、筆者は子ども2人目の保育料が有料の地域に住んでいるのですが、隣の市では2人目の子どもの保育料が無料と聞いて、モヤモヤしてしまった経験があります。
住んでいる場所により保育料の扱いなど子育て支援が異なるのは、国で統一されているルールに、各自治体が独自制度を上乗せしているためです。
0~2歳の子どもの保育料は、国のルールでは世帯の所得に応じて定められた金額となっており、未就学児の児童をカウントして、対象の子どもが2人目の場合は保育料が半額です。
このルールが定められたうえで、「2人目の保育料も無償化」や「子どものカウント方法は子どもの年齢を問わない」など各自治体が独自の子育て支援制度を策定しているのです。
なぜ東京都だけ子育て支援が手厚いの?
多摩川格差は、東京都が独自に使えるお金が多いことが背景として挙げられます。それぞれの自治体は、標準的な行政サービスをおこなうために必要な金額が決められており、足りない分は国からの地方交付税で補われています。
東京都は地方交付税をもらっていないため、税収が増えると、自由に使えるお金が増えるのです。また、東京都には多くの企業が集中しているため、法人からの税収も集中します。
神奈川県や千葉県、埼玉県など東京近郊の県は、東京都と同じような子育て支援をおこないたくても、財源の違いによりできないという背景があるのです。
全国を対象にした子育て支援が広がりつつある
手厚い東京都の子育て支援は、子育て世帯にとってはうれしいものですよね。しかし、東京都に近い場所であっても都民以外は支援を受けることができないため、住んでいる場所の違いで大きな差が生じてしまっており、「多摩川格差」などと呼ばれている現状があります。
2026年度からは、全国の公立小学校を対象に給食費無償化や、私立高校無償化など子育て支援も広がりつつあります。住んでいる場所にかかわらず子育てしやすい社会になるとうれしいですね。
出典
東京都 保育料等の無償化について
川崎市 認可保育所等の利用者負担額(保育料)
こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
