【高速道路】深夜割引は“実質廃止”に? 変更時期と新ルールを整理
これまで深夜をまたぐ移動で大きな割引効果を得ていたドライバーにとっては、家計への影響が気になるところです。一方で、見直しには安全性や公平性の改善など社会的な目的もあります。
本記事では、変更の背景と新制度の内容と家計やドライブ計画への影響を整理します。
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なぜ、深夜割引は見直されるのか
深夜割引の見直し背景としてまず挙げられるのが、“0時待ち”と呼ばれる行動です。これまで深夜割引は「0時~4時の間に高速道路を通過する」だけで一律約3割の割引が適用されていました。そのため、割引を受けるために料金所付近で待機するトラックや乗用車が多く見られ、安全面の懸念や局所的な渋滞を引き起こしていました。
また、深夜割引は走行距離にかかわらず適用されるため、実際に深夜帯をどれだけ走行したかが反映されず、制度の公平性にも課題がありました。こうした問題を解消し、交通の安全性と合理性を高めるために、割引制度の抜本的な見直しが決定されたのです。
新しい深夜割引のルールで何がどう変わるのか
新制度では、これまでのように「深夜時間帯を一部でも通過すれば全区間が割引」ではなく、「深夜帯に実際に走行した距離」に応じて割引が算定される方式へと転換します。割引対象時間帯は従来よりも広い22時~翌5時に拡大されますが、割引の算出方法が実走行距離ベースになる点が大きな変化です。
さらに、割引の適用方法も「通行時に即時割引される方式」から「後日還元型」へ変更されます。これはETCの走行データをもとに割引額が計算され、後日マイレージなどへ還元される仕組みで、利用者は通行時に割引後料金が確認できなくなります。
そして制度移行後は、ETCマイレージサービスやETCコーポレートカードの事前登録が必須となる点にも注意が必要です。
なお、長距離ドライバーへの配慮として、走行距離が長くなるほど料金負担が抑えられる仕組みも強化されます。これは夜間に長距離移動を行う物流業者や旅行者にとってはメリットとなり得ます。
家計やドライブ計画に与える影響
今回の見直しは、利用者の走行パターンによって割引のメリットが大きく変わる点が特徴です。従来は、深夜をまたいで少しでも走行すれば全区間が割引になったため、短距離利用でもメリットを得やすい制度でした。
しかし新制度では、深夜帯に走行した距離がそのまま割引額に直結するため、例えば深夜に高速へ入ってすぐ降りるような短距離利用では割引効果が小さくなる可能性があります。
一方で、深夜に長距離移動を行う場合は、従来よりも合理的かつ公平な割引が受けられる仕組みに近づくといえます。特に物流業界では、割引が走行実態に応じて反映されることで、コストの予測がしやすくなるという利点もあります。
ただし、割引が後日還元に変わることで、家計管理の観点では注意が必要です。通行時には通常の料金を支払うため、月ごとの支出の見え方が変わります。深夜割引を多用していた人は、キャッシュフローの管理を意識することが重要になります。
現時点で注意すべきポイント
深夜割引の新制度は当初予定から導入時期が延期されており、現時点では「開始時期は未定」と案内されています。正式な実施日はまだ確定していないため、続報を確認する必要があります。
現在のところ、導入は2026年度以降と見込まれていますが、移行時期によっては旧制度と新制度が混在する期間が生じる可能性があります。また、前述のとおり、新制度の適用にはETCマイレージサービスやETCコーポレートカードの事前登録が必須となるため、利用予定がある人は早めの準備が欠かせません。
深夜割引を前提としたドライブ計画を立てている場合も注意が必要です。割引が適用される区間や距離が変わるため、目的地までの費用試算はこれまで以上に慎重に行う必要があります。
深夜割引の変更を踏まえて賢く利用しよう
深夜割引は実質的に距離連動型の仕組みに生まれ変わり、これまでのような一律割引ではなくなります。しかし、長距離利用者にとってはメリットのある制度へと再設計されており、使い方次第で家計負担を抑えることも可能です。
正式な導入時期や詳細条件が今後発表される見込みのため、高速道路を日常的に利用する人は、制度開始前にETCの登録状況や移動パターンを見直し、どの使い方が最もお得になるのかをシミュレーションしておくとよいでしょう。
出典
国土交通省 高速道路の深夜割引の見直しについて
東日本高速道路株式会社 NEXCO東日本 深夜割引の見直しについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
