「町内会の加入って、強制なんですか!?」引っ越し先で「年1000円」の会費を請求されました。少額ですが、払うのは“当たり前”なのでしょうか?「自治会・町内会費」の使い道とは
自治会・町内会の会費は、義務ではないため断ることができます。本記事では、自治会の基礎知識や加入は強制なのか、加入している人の割合、会費はどのように使われているのかを解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
そもそも自治会・町内会とは?
自治会・町内会とは、同じ地域に住む人々が、地域のつながりを深め、住みやすい地域社会をつくるために活動している団体です。全国には、約30万もの自治会・町内会などがあり、主に次のような活動をしています。
・防犯、防災活動
・環境美化活動
・福祉活動
・親睦活動
定期的に地域の清掃があったり、自治会主催のお祭りがあったりするため、活動に参加している人も多いでしょう。また、自然災害に備えて防災訓練をしたり、避難者名簿を作成したりするなどの活動もしており、いざというときに助け合える地域づくりをしている自治会もあります。
自治会への加入は強制? 加入しなければどうなる?
前記のとおり、自治会への加入は任意であり、強制ではありません。自治会に加入しなければ、当然ながら会費は支払わなくて済み、役員負担もなくなります。
一方、自治会によってルールは異なりますが、加入しなければ、以下のようなデメリットがあります。
・ゴミ集積所が使えない
・お祭りに参加できない
・災害時に支援を受けにくくなる
・孤立しやすくなる
「自治会に入らないとゴミ出しができなくなる」と聞いたことがある人もいるでしょう。法的には、市区町村がゴミ収集義務を負っており、自治会の未加入を理由にゴミ出しを禁止することはできません。
ただし、ゴミ集積所の設置・管理は自治会でおこなっているため、「未加入なのにゴミ出しをしている」と反発が生まれ、トラブルが起きやすい構造になります。その結果、利用を制限され、市区町村の廃棄物担当課に相談したり、自治会と交渉して会費のみ支払ったりするケースがあります。
自治会への加入率
「どのくらいの割合で自治会に加入しているの?」と気になる人もいるでしょう。東京都が発表している「町会・自治会活動に関する調査」によると、加入率は図表1のとおりです。
図表1
東京都生活文化局 町会・自治会活動に関する調査(概要)
加入率を把握している自治会の回答(加入率の推移)によると、自治会への加入率は決して高くはないことが分かります。ただし、図表1は東京都の調査結果であり、地方では東京などの大都市よりも住人間のつながりが強いことが多く、加入率が高い地域もあるでしょう。
自治会の会費は何に使われている?
自治会の会費は、地域住民の生活の維持、地域交流をするための活動費に使われています。具体的な使徒は、以下のとおりです。
・ゴミ集積場の管理、備品購入費
・地域の清掃活動費
・夏祭りや子ども会の活動費
・防災訓練や防災備蓄品の購入
・集会所の維持費や役員会のお茶代
ほかにもさまざまな活動に自治会の会費が使われていますが、疑問が残る人もいるかもしれません。筆者の住んでいる地域では、年2回あったお祭りが、新型コロナウイルス流行以降なくなりました。その代わりに会館を建て替えたり、カラオケ機材を購入したりしています。
自治会の会費は支払っているけれど、ほとんど活動には参加していない、会費の使い方に不満があると考える人もいるのではないでしょうか。前記のとおり、自治会に加入していない人も増えているため、会費を支払わないのも選択肢の1つでしょう。
まとめ
引っ越しの際などに自治会への加入をすすめられることがありますが、加入や自治会費の支払いは、任意であり義務ではありません。ただし、自治会への加入にはデメリットばかりではなくメリットもあるため、単純に「会費を払いたくない」というだけで判断するのはリスクがあります。
東京都では、自治会に加入する人の割合が減少傾向にありますが、地方では状況が違うこともあります。引っ越し先で自治会の会費の請求が来たら、すぐに断るのではなく、落ち着いて考えたほうがよいかも知れません。
出典
東京都 生活文化局 町会・自治会活動に関する調査(概要)
執筆者 : 藤岡豊
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

