【給付金】「こども2万円給付」は“ずるい”?「子持ちだけ優遇されてる」「来年から独身税もあるのに」…子育て世帯への支援は“不公平”なのか 子なし世帯へのメリットとは
子育て世代には朗報の制度ですが、世間では「子育て世代ばかり優遇されている」との声もあります。
また、来年度からの子ども・子育て支援金もありますが、これらは子育て世帯以外にとって不公平なのでしょうか。本記事では、こども2万円給付と子ども・子育て支援金の概要、子持ち世帯のみを優遇する制度なのかについて解説します。
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「こども2万円給付」とは?
こども2万円給付は、正式には「物価高対応子育て応援手当(仮称)」です。11月21日に発表された「総合経済対策」の1つで、物価上昇の長期化による負担が特に大きい子育て世帯を応援する目的で支給が決定しました。
支給対象は0歳から18歳の全ての子どもで、所得制限はありません。子ども1人あたり2万円が1回限り支給されます。児童手当の受給口座に自動振込される形であり、申請は特に必要ありません。正確な支給時期は未定ですが、2026年春ごろが予定されています。
2026年度からは「子ども・子育て支援金」制度も始まる
子ども・子育て支援金制度は、2026年度から始まる、子育てを社会全体で支えるための制度です。
全世代および企業が、医療保険料とあわせて子ども・子育て支援金を納付し、それを財源にして子育て世帯への支援を行って、少子化に歯止めをかけようというのが主な目的です。
支援金は、2026年4月から医療保険料とあわせて拠出することになります。支援金額は加入する医療保険制度や所得に応じて変わりますが、平均すると2028年度で月額450円(2026年度は250円)になると試算されています。
代表的な支援内容には、すでに2024年10月から制度が拡充された児童手当の存在があります。
拡充前の児童手当は、4ヶ月に1回、子どもが中学生までの期間に支給され、扶養親族等の数に応じた所得制限もありました。現在の児童手当は、所得制限なしで2ヶ月に1回支給され、支給期間も高校生年代まで延長されています。また、第3子以降は月3万円と大幅に増額されました。
子ども・子育て支援金制度は子持ち世帯以外にメリットは何もない?
子ども・子育て支援金制度は、子どもの有無に関係なく全世代が支援金を納付するため、一部では独身世帯や高齢世帯に恩恵が無い(=独身税)という批判の声もあります。ただ、現在の扶養控除制度には、子どもを育てる親でも子どもが高校生になるまで扶養控除が全くないという問題があります。
以前は、0~15歳までの子どもを扶養する親には、所得税が38万円・住民税が33万円の控除が適用される年少扶養控除がありましたが、2010年度に廃止されています。また、以前の児童手当には所得制限もありました。
2010年度の年少扶養控除の廃止から現在までの制度設計では、「子どもを育てるために児童手当で所得を増やす必要があるのに、所得制限がかかる」「子どもがいるのに単身の所得者と同じ課税をされる」と不公平を感じていた子育て世代がいました。
これを考えると、今回の子ども・子育て支援金制度は、子持ち世帯の優遇とは断言できず、これまでの制度マイナス面の是正の側面があるとも考えられます。
独身者や高齢者などにとっては、一見するとメリットがない制度に見えます。ただ、少子化が改善されれば将来の働き手となって税収が増え、日本国民全員が充実した公共サービスを受けられるメリットがあります。
まとめ
2026年度は、「こども2万円給付」や子ども・子育て支援金制度が始まります。
子育て世帯向けの支援ですが、少子化に歯止めがかかり改善されれば、将来的には日本国民全体にプラスのメリットがあります。制度内容は今後更新される可能性もあるため、子育て世代でない人も最新情報を確認していきましょう。
出典
首相官邸「強い経済」を実現する総合経済対策
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
