忘年会の「会計10万円」を、幹事が“個人クレカ”で決済! かなり「ポイント」を得たらしいですが、これって“横領”にならないのですか? トラブル防止のポイントも解説
しかし、中には「ポイントを個人でもらうのは横領だ」と会社から指摘され、トラブルになるケースがあります。実際に罪に問われることがあるのでしょうか。本記事では、法律の観点と企業内部のルールの両面から、ポイント取得が問題になる仕組みを整理します。
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目次
個人カードで会社の忘年会費を立て替えるとなぜ問題になるのか?
会社の飲み会代を個人カードで支払うと、自分名義のカードにポイントが付与されます。このポイントは、金銭と同様に買い物やサービスと交換できるため、法律上は「経済的利益」に該当する可能性があるでしょう。
そのため、会社側から「会社の経費支払いで得た利益を従業員が取得するのはおかしい」と判断されることがあり、注意が必要です。
会社の費用を使って個人の利益が生まれる構図
忘年会の費用10万円を例にすると、会社は10万円分の経費を負担しますが、従業員はその負担を元にポイントを受け取ることになります。この構図が不透明な場合、「本人が意図的に利益を得たのでは」と誤解される余地が生まれるのです。
法律上「横領」になる可能性はある? 刑法の論点を整理
ここでは、刑法上の業務上横領罪の要件から、ポイント取得がどこまで問題となりうるかを見ていきましょう。
業務上横領罪の基本的な考え方
刑法253条(業務上横領)では「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は処罰される」と規定されています。立て替え払いで使う10万円は会社の費用であり、本来は「会社のために扱う金銭」です。
その経済活動から生じたポイントを従業員が受け取る行為が、「他人の利益の横取り」とされる余地がある、というのが法律上での解釈となり得ます。
ただし、実際に刑事事件化するケースはまれです。ポイントは金銭そのものではなく、企業側も黙認している場合が多いため、横領罪に発展するのは「明確な悪質性」がある場合に限られます。
ポイントの扱いは企業で異なる
企業によっては、旅費規定や経費規定で「立て替え払いによって得たポイントは会社の帰属」と明記しているケースがあります。この場合、ポイントを個人利用すると「規定違反」となり、横領とまではいかなくとも懲戒の対象になる恐れがあるでしょう。
特に管理職や経理担当者の場合、ルールを理解していなかったという理由は認められにくいため、注意が必要です。
個人ポイントをためる行為には見えにくいリスクがある
ポイント自体は少額であっても、会社のお金の流れから生じた利益を従業員が受け取る行為は、経理監査や内部統制の観点で指摘されやすいのが実情です。企業側の判断によっては、懲戒処分や経費精算の差し戻しにつながることもあります。
トラブルを避けるためにできること
飲み会で幹事を任された際は、「個人カードで払ってよいか」「ポイントは個人取得で問題ないか」などについて、上司または経理部に確認しておくことが重要です。小さなやり取りでも、後々の誤解を防げます。
会社側も明文化しておくことが重要
経費精算のルールを曖昧にしていると、従業員の判断に任され、トラブルの種になります。取得したポイントの帰属や立て替えの上限、個人カード使用の可否などを明示することが有効です。
また、法人プリペイドカードやコーポレートカードを導入すれば、立て替え自体を不要にする仕組みも整えられます。
刑事罰となるリスクは低いが社内規定違反のリスクは高い
忘年会などで個人カードを使用してポイントを得た場合、それが直ちに刑法上の横領に該当する可能性は高くありません。実際には、会社が黙認しているケースも多く、悪質と判断されなければ刑事処分に発展することはまれです。
しかし、社内規定に反してポイントを受け取る行為は、懲戒処分や信頼関係の悪化につながるリスクとなります。立て替えでポイントを得ようとする場合は、まず会社の規定を確認し、必要に応じて上司や経理に相談することがポイントです。
出典
e-Gov法令検索 刑法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
