バスで「子ども料金120円」を払おうとしたら、「現金不可です」と断られた! 親のパスモで“一緒に払う”ことはできないの? バスの「完全キャッシュレス化」が進む背景とは

配信日: 2025.12.17
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バスで「子ども料金120円」を払おうとしたら、「現金不可です」と断られた! 親のパスモで“一緒に払う”ことはできないの? バスの「完全キャッシュレス化」が進む背景とは
「現金は使えません」
 
キャッシュレス決済が広がる中、そう言われて戸惑った経験がある人もいるのではないでしょうか。
 
2024年より、全国各地で「完全キャッシュレスバス」の実証運行が始まっています。バスといえば、これまでは整理券を取り現金を入れるのが当たり前でした。しかし、今ではICカードやQRコード決済に対応する車両も増え、支払い方法は多様化しています。
 
一方で、子ども連れで利用する人では、「子ども用のICカードは作りたくない」「現金のほうがいい」といった不便を感じることもあるようです。
 
本記事では、完全キャッシュレスバスの実証運行が始まっている背景について解説し、今後の見解についても考察します。また、現金を持っていない場合の対処法についても触れるので、子どもとバスに乗る機会がある人は最後まで目を通してください。
竹下ひとみ

FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種

銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。

現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。

バスの完全キャッシュレス化の背景

バス業界では、減便や赤字経営が相次ぎ、地域住民の移動手段が危機的な状況にあります。
 
具体的には、2022年度に路線バス事業者の約9割が赤字となりました。その背景には、人口減少やコロナ禍の影響、ライフスタイルの変化などが挙げられ、バス事業者の経営努力だけでは立て直しが難しくなっているのが現状です。
 
こうした中で、国土交通省は交通DX(デジタル化)を通じた経営効率化や、人手不足対策を進めています。その一環として、キャッシュレス決済の導入を後押ししているのです。これは、現金授受や釣銭対応をなくすことで運転手の負担を軽減し、安全運転にもつなげる狙いもあります。
 
キャッシュレス化は利便性を高めるだけでなく、労働環境の改善と持続可能な交通インフラを守るための国の重要な施策といえるでしょう。
 

今後、完全キャッシュレスバスは増える?

2024年度から始まった完全キャッシュレスバスの実証運行は、2025年度も対象路線の募集が行われています。現在は検証段階ですが、この取組は本格的な完全キャッシュレス化に向けての動きと考えていいでしょう。
 
政府が「取り組みやすい路線」として想定しているのは、1.利用者が限定的な空港・大学・企業輸送などの路線、2.外国人や観光客が多い観光路線、3.キャッシュレス決済利用率の高い生活路線、4.自動運転などほかの社会実験を併せて行う路線の4類型です。
 
今後は、これらの実証運行で得られた課題や利用者の反応を踏まえ、地方都市やコミュニティバスにも拡大していく見込みです。
 

完全キャッシュレスバスで現金しか持っていなかったら?

現金での支払いができない「完全キャッシュレスバス」が広がる一方で、ICカードを持たない利用者が乗車時に困るケースも出てきています。特に観光客や子ども連れなど、日常的に利用しない人は注意が必要です。
 
現金しか持っていない場合、まずは運転手さんに相談しましょう。バス事業者によっては、例外的に運転手が現金を受け取ってくれるケースもあるようです。ただし、あくまで臨時的な対応であり、原則はキャッシュレス決済が求められます。
 
また、一部のバス事業者では、親のICカードで子ども分の運賃をまとめて支払うことができます。支払い時に乗務員に申し出ましょう。
 
子どもが1人でキャッシュレス対応のバスに乗る機会がある場合は、子ども用のICカードの発行を検討しましょう。子ども用ICカードは、PASMO(パスモ)やSuica(スイカ)などで発行が可能です。発行の際には、子どもの年齢が確認できる公的証明書等が必要になります。
 

まとめ

完全キャッシュレスバスは、効率化と安全性の両面から、今後さらに拡大していくとみられます。
 
しかし、「子どもがICカードを持っていない」「観光で一度だけ利用したい」といったケースでは戸惑うこともあるでしょう。現金が使えないバスがあることを想定し、今後はあらかじめICカードを用意しておくと安心です。
 
キャッシュレス化は便利で合理的な仕組みですが、その便利さを十分に生かすには、利用者側の意識も欠かせません。子ども連れの外出では、支払い方法を確認する習慣を持つことが、新しい交通スタイルへの対応策となります。
 

出典

国土交通省 完全キャッシュレスバスの実証運行について
国土交通省 令和6年度完全キャッシュレスバス実証運行報告書
 
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種

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