年末は家族で「のぞみ」で帰省の予定。「自由席で少しでも節約」と思っていたら“全席指定席”と聞きショック! なぜ予約できないのでしょうか?「通常期・繁忙期」の料金も確認
本記事では新幹線を全席指定席にする理由とメリット・デメリットを整理して解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
年末年始の「のぞみ」は全席指定席に
現在、年末年始の特定期間(2026年12月26日~2027年1月4日) において、東海道・山陽新幹線の東京~博多間を運行する全ての「のぞみ」の1・2号車自由席は、全席指定席で運行されます。この期間中は、通常設定されている自由席車両がなくなり、事前に指定席を予約していない場合は「のぞみ」に乗車できません。
これは、年末年始の混雑緩和を目的とした措置です。
なぜ年末年始は自由席がなくなったのか? 全席指定化が進んだ3つの理由
「のぞみ」の全席指定席化が進められた背景には、主に3つの理由があります。
1つ目は、年末年始期間の混雑の激化です。自由席があったときは、自由席乗車口付近のホームで長時間待つ乗客が集中したり、乗降に時間がかかったりすることがダイヤの乱れにつながっていました。
2つ目は、車内の安全確保です。座席数以上の乗客が乗り込むことで、立ち客や通路での滞留が増えると、転倒や接触事故のリスクが高まります。
3つ目は、チケット転売対策です。指定席化することで、転売目的のチケットの大量確保や不正利用を抑える狙いもあります。
全席指定席のメリットは? 家族連れ・帰省利用の視点で考える
全席指定には、家族での帰省に明確なメリットがあります。
最大の利点は、予約をすれば必ず座れることです。小さな子どもや高齢者を同伴する移動では、座席が確保できていることは、安全に旅ができるという点で安心感を持てます。
また、予約した列車に必ず乗車できるため、到着時刻が読みやすくなり、乗り換えや迎えの手配など移動計画を立てやすい点もメリットとして挙げられます。
全席指定化のデメリットは? 自由席がないことで困るケース
一方、全席指定席にはデメリットもあります。
例えば、家族の都合などで急な人数変更などがあった場合、指定席が満席だと別の号車の座席や、別時間の列車を選ばざるを得ません。また、繁忙期は希望時間帯の座席が取りにくく、計画通りにいかない場合もあります。
自由席であれば、「取りあえず切符を購入して乗る」ことができましたが、予定が立てにくい帰省を考える家族にとっては、全席指定になり不便さを感じる場合もあるでしょう。
JR東海はじめJR各社では、シーズン別の指定席料金を設定しています。年末年始には最繁忙期、繁忙期、通常期が設定されており、最繁忙期は通常期料金+400円、繁忙期は通常期料金+200円です。JR東海のホームページに詳細が掲載されているので、事前に調べて予約をすることをお勧めします。
年末年始に新幹線を利用する場合の現実的な対策
対策として挙げられるのは、座席の早期予約です。指定席は、駅や旅行会社の窓口で乗車日の1ヶ月前の午前10時から発売されるため、予定が決まり次第すぐに確保するのが現実的な対策です。
また、スマホやパソコンによるネット予約サービス「スマートEX」では、乗車日の1年前より予約が可能(乗車日1ヶ月前の午前8時以降に列車番号、発着時刻、座席番号が確定)です。
また、「のぞみ」にこだわらず、「ひかり」や「こだま」を検討することで、座席を確保しやすくなるケースもあります。「のぞみ」以外の列車には年末年始も自由席設定があるため、時間に余裕がある場合は、金額が安く家族移動に有効な選択肢です。
家族で帰省するなら知っておきたいチケット予約のポイント
家族利用では、座席の並びを確保できるかも重要です。早めに予約すれば、2列・3列席をまとめて取れる可能性が高まります。
また、年末年始期間は、座席や列車の変更や払い戻し条件などについても事前に確認しておくと安心です。繁忙期だからこそ上手な計画が旅の快適さを左右します。
年末年始の「のぞみ」は並ぶ列車ではなく予約して使う列車
年末年始の「のぞみ」は自由席設定がないため、事前予約を必要とする移動手段へと位置づけが変わっています。
不便に感じる面はあるものの、混雑緩和や安全性向上といった合理的な理由が背景にあります。家族での帰省を快適にするためにも制度変更を理解したうえで、早めの準備を心がけたいところです。
出典
東海旅客鉄道株式会社 東海道・山陽新幹線からピーク期間のぞみ全席指定席のご案内
東海旅客鉄道株式会社 特急券(シーズン別の指定席特急料金)
執筆者 : 上嶋勝也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
