高校生の娘は薬剤師を目指して、私立の「薬学部」に進学を希望しています。これまで貯めてきた「児童手当」の金額だけで学費は賄えるでしょうか?
薬剤師養成のための薬学教育は6年制であり、私立大学の場合、その学費は初年度だけで数百万円にのぼるケースがあることが公的データから示されています。一方で、これまでの児童手当を進学費用に充てることも検討材料のひとつです。
本記事では、私立大学薬学部の学費を文部科学省の統計を基に整理し、児童手当の支給額を踏まえて進学費用を賄えるかシミュレーションします。
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私立大学薬学部の学費はどれくらいかかる?
文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」によると、私立大学薬学部(昼間部)の初年度の納付金総額は平均217万7590円とされています。
これには授業料143万3292円、入学料33万2681円、施設設備費31万97円、実験実習料2万8254円、およびその他費用7万3266円が含まれています。
実際には、薬剤師国家試験受験資格を得るには、原則として6年制のカリキュラムを修了する必要があり、学費総額は大学によって差がありますが、私立大学薬学部の6年間総額の目安は900万円~1400万円前後とされる例もみられます。
初年度は入学料などが重なるため特に高額になる傾向がありますが、2年目以降も授業料や実習・施設費が継続して必要です。学費以外にも教材費、実習関連費、国家試験対策費や下宿費・生活費などが別途かかることを考えると、進学に要する総負担はさらに大きくなる可能性があります。
児童手当制度の概要
児童手当は、0歳から高校生年代(18歳に達した後の最初の3月31日まで)の子どもを養育する方の経済的負担を軽減するために支給される制度です。
こども家庭庁によれば、支給額は子どもの年齢や人数に応じて異なり、第1子・第2子の場合、3歳未満では1人当たり月額1万5000円、3歳以上高校生年代までは1人当たり月額1万円となっています。第3子以降は年齢にかかわらず1人当たり月額3万円です。
2024年10月の制度改正では、これまで所得制限の影響で一部世帯が制限を受けていた支給について所得制限の撤廃が行われ、支給対象が中学生までから高校生年代まで拡大しました。また、第3子以降の支給額増額や、支給回数が偶数月年6回に増加されるなど、子育て世帯への支援が強化されています。
児童手当を全額貯めた場合の学費への充当シミュレーション
0歳から高校生まで児童手当の支給を受けた場合に、どれだけの金額を蓄えられるかを試算します。ここでは基本的に受給要件を満たし続けた場合を想定し、第3子以降の多子加算は考慮しません。
児童手当は偶数月にそれぞれ2ヶ月分が支給される仕組みで、年間の合計は以下のようになります。
・0歳~3歳未満:月額1万5000円×12ヶ月=年間18万円相当
・3歳以上~高校生まで:月額1万円×12ヶ月=年間12万円相当
これを対象年齢期間で積み上げると、例えば0歳~3歳未満までの3年間で約54万円(18万円×3年)、3歳~18歳までの16年間で約192万円(12万円×16年)となり、合計で約246万円(54万円+192万円)が児童手当の蓄積額の目安となります。
この約246万円を、進学初年度の学費217万7590円と比較すると、児童手当だけで初年度費用の大半をカバーできる可能性がある一方で、卒業までの総額900万円~1400万円前後と比較すると、進学期間全体の学費を賄うには不十分と考えられます。
受給実績は出生月や申請タイミングなどによっても変動しますので、実際に貯蓄可能な総額は家庭ごとに差が出ます。また、多子加算がある場合は受給総額がさらに増えるため、複数児童がいる場合でも各種制度を含めた支援プランを検討することが重要です。
まとめ
文部科学省の資料によれば、私立大学薬学部の初年度学費は平均約218万円であり、6年制の総費用は900万円~1400万円前後が一般的な目安とされています。
2024年10月以降の児童手当制度では、支給対象が高校生年代まで拡大され、多子加算を考慮しない年齢別の支給額に基づく受給総額の目安は246万円程度になる計算です。しかし、児童手当だけでは進学費用全体を賄うことは困難であり、奨学金制度、教育ローン、家計計画の見直しなどを総合的に検討することが望ましいでしょう。
進学費用の不安がある場合は、各種公的支援や大学の奨学金制度、教育資金計画の専門窓口などで相談し、自身の家計に適した準備を進めることが重要です。
出典
文部科学省 令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について 令和5年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)(2ページ)
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
