「ブックオフ」が13期ぶりに“過去最高益”を達成!「紙の本が売れない」時代、好調なのはいったいナゼ?「書籍・アパレル・トレカ」…商材ごとの売上構成比も確認
「ブックオフ=古本屋」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、なぜ過去最高益を達成できたのでしょうか。本記事では、その背景を解説します。
CFP
ブックオフ2025年5月期決算の概要
ブックオフグループホールディングスは、2025年7月10日に2025年5月期の決算を発表しました。連結売上高は1192億500万円(前期比6.8%増)、連結経常利益は39億300万円(前期比13.2%増)となり、13期ぶりに経常利益の過去最高を更新しています。
親会社株主に帰属する当期純利益も21億100万円(前期比23.2%増)と大幅に増加しました。同社はこの好調な業績を受け、2028年5月期を最終年度とする中期経営方針の経常利益目標を、従来の45億円から50億円へ上方修正しています。
なお、フランチャイズ加盟店を含めたブックオフチェーン全体では、年間約8600万人が利用するまでに成長しています。
商材ごとの売上構成比は?
国内ブックオフ事業の直営既存店における商材別の売上構成比を見ると、書籍が22.6%と最も高い割合を占めています。次いでソフトメディア(音楽・映像・ゲーム)が22.3%、トレーディングカード・ホビーが21.1%と続きます。アパレルは11.9%、貴金属・時計・ブランドバッグは9.0%です。
注目すべきは、トレーディングカード・ホビーの構成比が前期の19.1%から21.1%へと2ポイント上昇している点です。
商材別の既存店売上高の前年比を見ると、トレーディングカード・ホビーが110.7%と最も高い成長率を記録し、スポーツ・アウトドア用品が108.6%、アパレルが108.0%と続いています。書籍も101.9%と前年を上回りました。
なぜ過去最高益を達成できた? ブックオフの戦略とは
過去最高益達成の背景には、商材の多様化と店舗の大型化戦略があります。同社は、本やCD・DVDといった従来の商材に加え、アパレル、ブランド品、雑貨、スポーツ用品など幅広い商材を取り扱う大型店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の出店を郊外ロードサイドへ進めてきました。
こうした大型店は1000坪規模の売り場面積を持ち、利益占有率も高いことから、今後も積極的な出店を継続する方針です。また、ホビーやトレーディングカードの売り場拡張、対戦スペースの設置など、既存店のリニューアルも強化しています。これにより、本の取り扱いが充実していることを来店動機としつつ、本以外の商材でも売上を伸ばす構造を構築できました。
さらに、海外事業も好調です。アメリカの「BOOKOFF USA」やマレーシア・カザフスタンで展開する「Jalan Jalan Japan」の売上高は約62億円と、前年から32.3%増加しました。アメリカでは日本のアニメグッズの人気が高く、売上拡大に貢献しています。
国内で販売機会に恵まれなかった商品を海外で販売する仕組みは、循環型社会の実現にも寄与しています。
まとめ
ブックオフグループホールディングスが13期ぶりに過去最高益を達成した背景には、「古本屋」から「総合リユースショップ」への転換があります。
書籍を来店動機の中核に据えつつ、トレカ・ホビー、アパレルなど多様な商材へ展開を広げたことが成長の原動力となりました。サステナブル消費への関心が高まる中、リユース市場の拡大も追い風となっているといえるでしょう。
出典
ブックオフグループホールディングス株式会社 2025年5月期決算短信〔日本基準〕(連結)
ブックオフグループホールディングス株式会社 2025年5月期決算補足資料
執筆者 : 金子賢司
CFP
