コンビニ駐車場で「1時間だけ仮眠」…起きたら「罰金1万円です」と言われ困惑!「看板に書いてある」とのことですが、本当に払う必要はありますか?“無断駐車の罰金”について解説
しかし、コンビニ店員の窓をノックする音で目が覚めて話を聞いてみると、「無断駐車につき罰金1万円を申し受けます」と言われたらどうでしょう? 看板に「15分以上の駐車をする場合は罰金1万円」とあった場合、1万円は支払わなければならないのか疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。
今回はちまたでよく見かける、無断駐車の罰金の法的な拘束力について解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
「罰金○万円」の看板に法的な拘束力はないが、損害賠償を請求されることはある
結論から言うと、コンビニなどの私有地に掲示されている「罰金1万円」という文言には、そのままの金額の支払いを強制させる法的な効力はありません。
そもそも罰金とは、刑法などの法律に基づき、国が犯罪や違反をした者に対して科す刑罰のことをいいます。コンビニエンスストアや個人に、罰金を科す権限はないのです。
こういった無断駐車に対して駐車場の所有者が請求できるとすれば、民法上の損害賠償となります。
では、「損害賠償として○万円を請求します」としているケースはどうでしょうか?
損害賠償とは、相手の不法行為によって被った実際の損害を補償させるものです。コンビニの場合、「車1台分の駐車スペースが占有されたことで、本来来店するはずだった客が駐車できず、売上が減った」といった機会損失などが損害にあたります。
そのため、看板に書いてあるからといって「15分の駐車で1万円」などと、店側が一方的に決めた金額(実際の損害とかけ離れた金額)を請求することは、法的には認められない可能性が高いでしょう。
賠償額は「近隣の駐車場相場」が基準になる
無断駐車に対する損害賠償を考える際に、「1台分の駐車で減った売上」を正確に算出するのは非常に困難です。そのため、裁判などでは「周辺のコインパーキング等の料金相場」を基準にするのが一般的とされています。
実際に、大阪府茨木市にあるコンビニエンスストアが、所有する駐車場に合計2台の車を約1年半にわたり無断駐車した男性に対して損害賠償を求めた裁判がありました。 この裁判では、当該エリアの駐車料金相場である「1時間700円」を基準として賠償額を算定しており、実際にその通りの金額の判決が出ています。
もし今回のケースで、法的に争い損害賠償が認められたとしても、支払うべき金額は「1万円」ではなく、周辺駐車場の相場に合わせた「1時間分の駐車料金(数百円程度)」となる可能性が高いのです。
無断駐車は避けるべき
もちろん、「どうせ訴えられても支払うのは数百円だから無断駐車をしてもいいや」は通用しません。コンビニの駐車場は「買い物をする人たち」のためのスペースだからです。
仮眠などで長時間占有することはお店の売上に影響を与えるほか、買い物をしたいと思う人たちの機会を奪うことにもつながります。 運転中の休憩は、高速道路のSA・PAを利用するか、コインパーキングを利用しましょう。もちろん、駐車中のアイドリングは避けなければなりません。
まとめ
看板にある「罰金1万円」に法的な強制力はありませんが、店舗への営業妨害に対する損害賠償請求のリスクは存在します。「バレなければいい」「数百円なら安い」という考えは捨て、休憩が必要な際は適切な施設を利用しましょう。それが無用なトラブルを避け、安全運転を続けるための最善策です。
出典
e-Gov法令検索 民法
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
