中3の娘が「私立でも授業料は“無償化”だから安心だよね」と言ってきました。学校説明会でも「実質負担はかなり減ります」と言われましたが、入学金や制服代などはそのままですよね? 実際のところ家計の負担はどのくらい減るのでしょうか?
特に私立高校を選択肢に入れる場合、「以前より負担は軽くなったと聞くけれど、実際どこまで想定すればいいのか分からない」と感じる人は少なくありません。説明会では前向きな話が中心になりやすく、入学後に必要となる支出の全体像までは見えにくいものです。
そこで本記事では、私立高校の授業料支援制度の仕組みと、進学時に想定すべき現実的な負担について整理します。
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私立高校の無償化が意味するもの
私立高校の授業料が「無償化」と表現される背景には、国の「高等学校等就学支援金」制度があります。現在は年収910万円未満の世帯を対象に最大39万6000円、2026年度からは所得制限を撤廃し全世帯に最大45万7000円の支援が予定されており、支援上限額内であれば授業料の自己負担が実質ゼロとなる場合があります。
この制度により、毎年約40~45万円かかる授業料の負担が大幅に軽減され、特に複数の子どもを育てている世帯や教育費が集中しやすい時期の家計にとって大きなメリットとなります。ただし、「無償化」は、あくまで授業料部分に限定され、入学金・施設整備費・教材費等は別途必要となるため、全体の教育費計画には注意が必要です。
入学時に必要となる初期費用は別物
私立高校に進学する場合、入学前後にはまとまった支出が発生しますが、代表的なものは入学金です。これに加えて、制服や体操服、指定バッグ、教材一式、場合によっては学習用端末の購入費用などが必要になります。
これらの初期費用は、授業料支援の対象外であり、進学を決めた時点で家計から用意しなければなりません。
学校説明会では「授業料は実質ゼロになります」と強調されがちですが、入学時の支出額だけを見ると、公立高校よりも高くなるケースが一般的です。したがって、進学前に必要な金額を具体的に把握しておかないと、「思っていたより負担が大きい」と感じてしまう可能性があります。
在学中も続く細かな支出
授業料が軽減された後、入学してからもさまざまな支出が続きます。
例えば、修学旅行や校外学習の積立金、部活動にかかる費用、検定試験や模試の受験料などです。これらは毎月定額で発生するものばかりではなく、学年や行事のタイミングによってまとまった金額が必要になることもあります。
参考として、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、私立高校に通う場合、年間の学習関連支出は平均で約103万円とされています。このうち、授業料は約23万円を占めています。
支援制度を利用すれば、この授業料部分は軽減される可能性があります。一方で、教材費や通学費、修学旅行費などは対象外となり、入学後も継続的に備えておく必要があります。
こうした費用は、学校の方針や進学重視か特色型かといった学びの内容によって差があり、事前に総額を把握しにくい点が特徴です。
授業料が軽減されることで安心しやすい一方、こうした変動的な支出が積み重なると、結果的に年間の負担が想定より大きくなることもあります。あらかじめ余力を見込んだうえで、ある程度のゆとりを持たせた計画を立てておくことが重要です。
公立高校との比較で見えてくる現実
公立高校と比べると、授業料支援を受けた後でも、私立高校のほうが総支出は高くなる傾向があります。公立では入学時の費用や施設関連の支出が抑えられているため、全体として家計への影響が読みやすいからです。
一方で、私立高校には教育内容や進路サポートなど、独自の強みがあるのも事実です。重要なのは、「無償化されるから安心」と単純に判断するのではなく、家庭の収支状況や教育方針と照らし合わせて、納得できる選択をすることだといえるでしょう。
高校無償化の制度を正しく理解して進学先を選ぼう
私立高校の授業料支援制度によって、家計の継続的な負担は確かに軽減されます。具体的には、平均的な授業料相当分については、支援制度を活用することで支出を抑えられる可能性があります。
一方で、教材費や通学費、修学旅行費など、授業料以外の支出は引き続き必要となるため、進学に伴う負担全体が大きく減るわけではありません。したがって、制度によって「どこが軽くなり、どこが残るのか」を理解したうえで、家計への影響を踏まえた進学先の選択を考えることが重要です。
大切なのは、制度のメリットと対象外となる支出を切り分け、全体像を把握することです。数字をもとに冷静に整理し、家庭の状況に合った進学を選ぶことで、後悔のない選択につながるでしょう。
出典
文部科学省 高等学校等就学支援金制度
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
