体調不良でホテルを「当日キャンセル」…スタッフの人が「特別にキャンセル料なし」にしてくれたので、お礼を“SNSに投稿”したら批判殺到! いったいナゼ? トラブルを避けるポイントとは
ただ、体調不良やインフルエンザ、飛行機の欠航など、どうしても移動・宿泊が難しい事情が生じることもあります。そんなとき、ホテルが独自の判断でキャンセル料を免除したり、日程変更として扱ってくれたりする場合があるようです。
ところが、こうした対応に感謝しSNSへ投稿すると、思わぬ批判が寄せられるケースがあります。
本記事では、キャンセル料の仕組みと、なぜSNSへ投稿することがトラブルにつながるのか、そして特別な対応への感謝をどう伝えるべきかについて解説します。
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
銀行にて12年勤務し、法人および富裕層向けのコンサルティング営業に従事。特に相続対策や遊休地の有効活用に関する提案を多数手がけ、資産管理・税務・不動産戦略に精通。銀行で培った知識と経験を活かし、収益最大化やリスク管理を考慮した土地活用のアドバイスを得意とする。
現在は、2社の経理を担当しながら、これまでの経験をもとに複数の金融メディアでお金に関する情報を発信。実践的かつ分かりやすい情報提供を心がけている。
ホテルのキャンセル料は当日100%が一般的
国土交通省の標準旅行業約款では、国内旅行にかかる取消料として、以下の通り定められています。
・20日前:20%以内
・7日前:30%以内
・前日:40%以内
・当日:50%
・無断キャンセル:100%
ただし、標準旅行業約款が適用されるのは、旅行会社が企画・販売するパッケージツアー(募集型企画旅行)や受注型企画旅行の場合です。
ホテルや旅館に直接予約した場合の宿泊契約は、旅行業法の対象ではありません。適用されるのは、各施設が定める宿泊約款と民法、消費者契約法となるのです。そのため、宿泊施設はキャンセル料を独自に設定でき、「当日キャンセル=100%」とする取り扱いが一般的になっています。
例えば、東急ホテルズの宿泊約款でも、前日の15時以降はキャンセル料は宿泊料の100%と明記されています。これは、当日のキャンセルでは新たな予約を受けることが難しく、事実上その日の販売機会が失われるためと考えられます。
加えて、清掃やスタッフ手配などの運営コストは、宿泊の有無に関わらず発生しているため、全額の請求には十分な理由があると言えるでしょう。
SNSに感謝を投稿して批判が起きるのはなぜ?
当日キャンセルの場合、基本的に宿泊料の100%を支払うことになりますが、なかには、ホテル側が事情を知って特別にキャンセル料をなしにしてくれた、ということもあるようです。
このとき、ホテルの親切に救われた側としては、SNSで「このホテルは本当に親切でした」と伝えたくなるものです。しかし、実際にはこうした投稿が批判を呼ぶこともあるのです。その背景には、キャンセル料を巡る公平性の問題があるからだと考えられます。
SNSでは、
「キャンセル料100%払いました」
「勉強代と思って諦めるしかない」
「痛い出費で辛い」など、直前キャンセルで実際に負担を抱えた人の声が散見されます。
確かに、インフルエンザの診断書や航空会社が発行する欠航証明など、やむを得ない事情を客観的に示せる場合には、キャンセル料を免除するケースもあるようです。ただし、これは法律に基づく「義務」ではなく、ホテル側の裁量による“善意の対応”であることを忘れてはいけません。
SNSで特例対応だけが強調されると、「自分は払ったのに」という受け手側の不公平感が生じ、批判につながりやすくなります。
また、「病気なら必ず無料になる」「欠航なら当然免除される」といった誤解を招くおそれがあります。その結果、同じ対応を求める人が増えてしまうと、ホテル側にとっても望ましい状況とは言えないでしょう。
感謝は“直接”がいちばん伝わる
特別に対応してもらった場合、最も誤解がなく確実な感謝の伝え方は、SNSではなくホテルへ直接伝えることです。
後日あらためて宿泊する、チェックアウト時にお礼を伝える、メールで感謝を伝える、館内サービスを利用するなど、ホテルにとってプラスになる行動は、素直に喜ばれるはずです。
ホテルは営利企業であり、特別対応をした場合でも売上は失われています。だからこそ、体調が回復したあとに再訪し、正規の宿泊料金を支払うことは、双方にとって最も分かりやすい“感謝の形”と言えるでしょう。
どうしてもSNSで伝えたい場合は、ホテル名を伏せる、詳細を書きすぎない、キャンセル料の免除には触れないなどの配慮が必要です。そうすれば、誤解や不必要な批判を避けやすくなります。
出典
国土交通省 標準旅行業約款
東急ホテル キャンセル料について
執筆者 : 竹下ひとみ
FP2級、日商簿記2級、宅地建物取引士、証券外務員1種
