更新日: 2019.05.17 その他暮らし
親子が共に安心できる住み方。「近居」について考えませんか?
近頃は、よりフレキシブルに対応できる「近居」を考える人が増えています。
Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
同居より近居を選ぶ理由は居場所の確保
Kさん(67歳女性)の母親はもうすぐ90歳。昨年ご主人を亡くしたので、現在は一人暮らしです。
週1回Kさんと妹さんが訪問しますが、残りの5日間が不安です。この部分を補っているのは、ヘルパーさんとご近所の方達です。
お母様は手先が器用で、和風の小物づくりを自宅で教えています。日頃から自宅に出入りしているご近所の方達は、家の様子が分かっているので、お手伝いをお願いしやすい環境にあります。いつも気に掛けて貰っている状態ですから、母親にとっては居心地の良い状態です。ずっとここで暮らしたいという思いが募ります。
しかし、この先を考えると心配です。Kさん自身も、片道1時間の往復で、訪問回数を増やすことに自信がありません。子どもが独立して、Kさんは夫と二人暮らしです。
夫の承諾を得て、実家の近居を考えているそうです。同居できる広さはあるのですが、近居を選ぶ理由は、夫への配慮だけでなく、ご自身も別の居場所が欲しいということです。親子でも、近すぎない関係が上手く暮らすコツだと思います。
子育て世帯にはお得な制度もあります
Tさん(32歳)は仕事と子育てをしている会社員です。仕事が忙しい時は、保育園への送り迎えなど母親に手伝ってもらっています。
彼女の会社は、働き方改革の一環で、希望すれば、1週間に1日の在宅勤務が認められているそうです。出来るだけ子どもと一緒の時間を作りたいので利用したいところですが、業務途中で育児することは出来ないので、ここでも母親に助けてもらっているそうです。
仕事と育児の両立で悩む女性にとって、彼女のように母親のサポートがあることは、とても羨ましいことです。実家の近所に住むメリットは大きいのです。
実は、近居を推進する制度は増えています。
【UR賃貸住宅の場合】
募集家賃から最大で20%、5年間割り引いてもらえる制度があります。直系血族または3親等内の親族で近居すると、どちらかが下記のいずれかの条件にあてはまった場合に適用されます。
①子育て世帯(満18歳未満の子を扶養している世帯)
② 高齢者世帯(満60歳以上の方を含む世帯)
幾つかの条件がありますので、詳細はこちらを参照してください。
【自治体の場合】
助成制度を設けているいくつかの例を紹介します。
品川区の場合、品川区内で親と同居または近居することになったファミリー世帯に対し、転入・転居の費用の一部を、協賛企業で使えるポイントとして交付しています。
また千代田区の場合は、区内に引き続き5年以上居住する親がいる新婚世帯・子育て世帯を対象に、区内に住み替えた場合に毎月6千円から8万円を最長8年間助成します。要件はありますが、かなりお得な制度です。
該当しそうな方は是非調べてみてください。民間賃貸住宅の場合は家賃の浮いた分を住宅購入時の頭金にする、マイホームの場合は浮いた分で繰り上げ返済に充てる、といったことが出来そうです。
都内に限らず、各自治体で支援する動きは進んでいます。近居を希望する場合は、上手に助成制度を使うことも考えてください。