レンタカーが「たった20分駐車」で“バッテリー上がり”に! 故障車なのに「乗り捨て」もできず、保証も対象外で困惑…泣き寝入りするしかない? トラブル時に知っておくべきポイントとは
SNSでは、レンタカー会社から「復旧したら乗って返却してください」「そうでない場合は乗り捨て扱いです」と言われ、加入していた保証も対象外などとされるという投稿が話題になりました。
明らかにレンタカーの整備不良であり、落ち度はレンタカー会社にあると思われるこのような場合の対応について、国民生活センターの注意喚起や法的論点を整理し、実務にすぐ役立つ解決策をまとめました。 泣き寝入りせず、本記事を参考に行動してください。
この対応策は、レンタカーに限らず消費者問題全般についても参考になるでしょう。
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー
どんなトラブルが発生しているのか
国民生活センターに寄せられたトラブルには、次のようなものがあります。
・レンタカーを借りて1時間走ったら警告ランプが点灯し走行不能になった
・レンタカーのカーナビの電源がオフにならないためバッテリーが上がった
・電気系統の故障によってカーシェアで借りた車が動かなくなった
本記事では、これら整備不良に起因する問題を主に取り上げますが、それ以外にも次のような事例も報告されており、同様の対応が役に立つと思われます。
・返却時に問題ないと言われたのに後から電話があり、覚えのない傷を指摘された
・保険が適用されず高額な修理代20万円を請求された
・カーシェアで鍵を紛失したら交換費用として18万円請求された
法的には債務不履行に該当、約款も無効の可能性
まず、このような事態の法的ポイントを確認しましょう。
レンタカー契約は「使用賃貸借契約」です。レンタカー事業者には道路運送車両法に基づく定期点検・車検・日常点検を行う義務が課されており、「整備された車両を貸与する」のが貸主たるレンタカー会社の当然の義務です。
短時間の駐車でバッテリーが上がるのは、貸出前の点検不備やバッテリーの寿命に起因するものである可能性が高く、貸主側の債務不履行にあたるでしょう。法的には、利用料の返還請求、代替交通手段の費用、精神的苦痛に対する慰謝料などの損害賠償請求も可能と考えられます。
さらに、レンタカー会社が利用規定や約款を根拠に、乗り捨て扱いで高額の利用料を請求したり、加入していた補償の対象外にしたりするのは、当該の規定や約款自体に問題があります。法的効力が否定される可能性が強いでしょう。
消費者契約法では、次のような約款の条項は無効とされています。
・事業者の責任を一方的に免除する(8条)
・事業者の債務不履行の場合に消費者の解除権を制限する(8条の2)
・消費者の利益を一方的に害する条項(10条)
その根底には、基本法である民法の約款についての原則があります。信義誠実の原則に照らして、相手方の利益を一方的に害する条項は無効になるのです(民法548条の2第2項)。
実際の対処策
とはいえ、裁判所に訴え出るのは手間も暇もかかります。実務的には、前記の法的根拠をもとにして、次のように対応するのが効果的と考えられます。
要は、「この人は法的知識があり、公的機関を動かす準備ができている」と貸主(レンタカー会社)に認識させることです。これが返金や請求撤回等の解決を引き出すポイントになるでしょう。
事実関係を正確に記録
例えば、次のような対応です。
・車両の状態を写真や動画で記録(メーター表示、警告灯、バッテリー電圧表示など)。周囲状況もあわせて記録。
・レンタカー会社の指定連絡先(ロードサービス窓口など)に連絡。日時・担当者名・指示内容をメモ、できれば録音もする。
・「復旧したらそのまま乗って返却してください」と言われても、「再発・危険が予想され、安全上不安がある。走行を控えたい」などとはっきり主張、その旨も記録する。
・事業者が手配するロードサービス・代車・タクシー等の有無・条件を、書面やメールで確認し記録を残す。
・「高額な料金に納得できない」場合、事業者に請求の根拠や内容についての説明や明細の交付を求める。
レンタカー会社の本部に訴える
レンタカー会社の対応に納得できないときは、消費生活センター等へ相談しましょう。消費者ホットライン「188(いやや!)」が、最寄りの消費生活センター等を案内する全国共通の3桁番号です。センターでアドバイスやあっせんの労をとってくれます。
それでも解決しないなら、レンタカー会社の本部に直接クレームを申し出ます。前記の通り「この人は法的知識もある。公的機関に訴えられてはまずい」と会社に思わせましょう。
・事実関係の記録の提示。
・法的な指摘:「貴社から『復旧したため継続利用、不可なら乗り捨て扱い』『保証対象外』との案内を受けた。これは債務不履行かつ不当条項の無効(民法第548条の2第2項、消費者契約法第8から10条等)に該当する」など。
・請求:「契約解除、利用料金全額返金、不当な修理費用の請求の撤回、代替交通手段の費用の補償」などです。
・以後の対応の告知:「誠意ある回答がなければ管轄運輸支局、国民生活センターおよび消費生活センターへの通報・あっせん依頼、少額訴訟による損害賠償および慰謝料の請求等を行う」など。
消費者としての権利はしっかり主張しよう
レンタカー会社の不当な取り扱いを取り上げましたが、この対応は消費者契約一般に応用できるものです。
不当な利用規約・約款は無効です。それを前提に事業者の本部と交渉します。その際には、民法の一般原則や消費者契約法などを前提に、いざとなれば監督当局にも申し出るといった姿勢で臨めば、自身の権利擁護に役立つでしょう。
出典
独立行政法人国民生活センター レンタカー、カーシェアのトラブルに注意-事前に保険等の契約条件、車体の傷等を念入りに確認しましょう-
e-Gov法令検索 消費者契約法
e-Gov法令検索 民法
執筆者 : 玉上信明
社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー
