「子ども3人なら大学タダ」と安心してたのに、長男の卒業で“次男の学費”が「年100万円」に逆戻り!? 複雑な「3人カウントの罠」と、親が用意すべき本当の金額とは
ただ、「これで長男も次男も、末っ子の学費も心配ない」と胸をなでおろしたのも束の間、制度の細かいルールを知り、顔面蒼白になる保護者の人もいるようです。
実はこの制度、「子どもを3人産めばずっと学費無料」というわけではありません。長男が大学を卒業して就職した途端、大学生の次男が「対象外」となり、年間約100万円の学費請求が復活する可能性があるのです。
本記事では、この複雑な「3人カウント」の仕組みと、制度を過信せずに親が用意しておくべき金額について解説します。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
「3人産めば全員タダ」ではない落とし穴
昨年度から拡充された「高等教育の修学支援新制度」ですが、この制度の最大の誤解は、「子どもが3人いれば、親の年収に関係なく全員分の大学の学費が無料になる」と思われている点です。 確かに「所得制限なし」という要件は画期的ですが、そこには「扶養する子どもが3人以上いる期間に限る」という条件が存在します。
「扶養」から外れるとカウントされない
制度上の「子どもの数」は、単に兄弟姉妹の数を指すのではなく、「親が扶養している子どもの数」でカウントされます。一般的に、大学を卒業して就職し、経済的に自立(親の扶養から外れる)すると、その子どもはカウントの対象から外れます。
つまり、子どもが3人いても、第1子が社会人になって扶養を抜けると、親が扶養している子どもは「2人」になります。このとき、第2子・第3子は「3人以上」という要件を満たせなくなり、無償化の対象から外れることになるのです(※年収要件を満たす場合を除く)。
次男大学3年生のときに長男が自立するケースのシミュレーション
第一子の自立で大学無償化の対象を外れることが家計にどれほどのインパクトを与えるのか、具体的なケースで見てみましょう。
・長男(大学4年生)
・次男(大学2年生)
・三男(高校3年生)
・世帯年収:700万円(※従来の制度では対象外の年収)
上記の家族構成の場合、制度開始の2025年度は、扶養する子供が3人いるため、長男(4年)と次男(2年)の授業料は無償化(上限あり)の対象となります。親としては「長男も次男もタダで助かった」と安心するでしょう。しかし、翌年(2026年度)になると事情が変わります。
長男が就職した翌年、次男の学費が復活
長男が無事に大学を卒業し、就職して自立しました。すると、親が扶養する子供は「次男(大3)」と「三男(大1)」の2人だけになります。また、この家庭は世帯年収700万円のため、従来の「住民税非課税世帯等」の基準には該当しません。その結果、どうなるでしょうか。
・長男:卒業済み
・次男:無償化対象外(授業料負担が復活)
・三男:入学初年度から対象外(授業料全額負担)
私立大学であれば1人あたり「年約100万円」×2人分=「約200万円」の支払いが家計に突然のしかかります。「3人全員無料」をアテにして貯蓄をしていなければ、この時点で家計は破綻しかねません。
「無償化」でも親の負担はゼロではない
さらに注意したいのが、「無償化」と言っても授業料の全額がカバーされるわけではない点です。国が定めた上限額を超えた分は、対象期間中であっても自己負担となります。
私立大学の「差額」は自己負担
私立大学の場合、授業料の減免上限額は「年額70万円」です。一方、私立大学の平均的な年間授業料は、文系で約82万円、理系で約116万円程度かかります。
・文系の場合:約12万円の自己負担
・理系の場合:約46万円の自己負担
これに加え、施設設備費や実験実習費、教科書代などは無償化の対象外です。つまり、たとえ「3人カウント」の期間中であっても、毎年数十万円単位の出費があることは覚悟しなければなりません。
まとめ
「多子世帯の大学無償化」は非常にありがたい制度ですが、「第1子が扶養を抜けると弟妹のハシゴが外される」という点には十分な注意が必要です。
特に年齢が離れている兄弟姉妹の場合、3人全員が扶養に入っている期間(=恩恵を受けられる期間)は意外と短いものです。制度改正のニュースに踊らされず、「支援がなくなっても払えるか」を常にシミュレーションし、教育資金の準備を怠らないようにしましょう。
出典
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
