モノを捨てられない親、実家の遺品整理が進みません。業者に頼むと相場はいくらくらいですか?
お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士
目次
遺品整理が進まないのは、珍しいことではない
遺品整理が思うように進まないのは、特別なことではありません。親が長い時間をかけて使ってきたモノや思い出を前にすると、判断に迷い、気持ちが追いつかなくなるのは自然なことです。「早く片付けなければ」と思うほど、かえって手が止まってしまう…… そのような状態になる方は少なくありません。
一方で、実家を空き家のままにしておくと、固定資産税や管理の負担が続き、建物も少しずつ傷んでいきます。無理に急ぐ必要はありませんが、「どんな進め方があるのか」を知っておくことが、後悔を減らす第一歩になります。
プロに頼むといくらかかる? 遺品整理の費用相場
遺品整理を業者に依頼した場合の費用は、主に「部屋の広さ」と「荷物の量」で決まります。
・1K・1DK:3~10万円
・2LDK・3DK:10~30万円
・4LDK以上:25~60万円以上
※地域、荷物量、階段作業の有無などにより前後します
※モノが非常に多い場合、相場の1.5~2倍程度になることもあります
金額だけを見ると高く感じるかもしれませんが、分別・搬出・処分までを一括で任せられるため、時間や精神的な負担を大きく減らせるのが業者依頼のメリットです。
業者選びは「その家を、この先どうしたいか」で考える
遺品整理は、片付けそのものよりも、「実家をこの先どうするか」によって、選ぶ業者が変わります。参考までに、目的別に片付けの依頼先を図表1にまとめました。
図表1
■遺品整理の専門業者
思い出の品や書類を丁寧に仕分けたい方に向いています。通帳や権利証、古い売買契約書など、後から必要になる書類の捜索にも強いのが特徴です。
■解体業者
実家を解体して売却することが決まっている場合、建物の取り壊しと同時に家財処分を引き受けてくれることがあります。
■不用品回収業者・便利屋
すでに貴重品の整理が終わっており、とにかく早く空にしたい場合に有効です。ただし、家庭ごみの処分には法律上の許可が必要なため、無許可業者には注意が必要です。
極端に安い業者のなかには不法投棄を行うケースもあり、トラブルが起きた場合は依頼者側が責任を問われる可能性もあります。必ず許可の有無を確認しましょう。
「全部片付けられない」ときの現実的な進め方
「時間も体力も足りない」「気持ちの整理がつかない」といった場合、すべてを自力で片付ける必要はありません。不動産業者による「買い取り」を利用し、家財道具を残したまま売却するという選択肢もあります。
この方法であれば、完璧に片付けなくても次のステップへ進めます。その場合でも、以下のものは必ず持ち出してください。
・現金・通帳・印鑑
・貴金属や手元に残したい品
・権利証や古い売買契約書などの重要書類
仏壇や神棚については、家族が主体となって供養・処分を行うのが一般的です。
<仏壇・神棚とお布施の悩み>
魂抜き(閉眼供養)を依頼する際、「お布施はお気持ちで」と言われ戸惑う方は多いものです。その場合は、遠慮せずお寺に相談してみましょう。目安を教えてもらえることも多く、気持ちの負担が軽くなります。写真や手紙などは、データ化して残すことで、無理に捨てずに整理することも可能です。
まとめ:迷ったときは専門家に相談を
遺品整理は、急いで終わらせるものではありません。何を残し、何を手放すかを考える時間は、親の人生を受け止めながら、自分自身のこれからの暮らしを整えていくプロセスでもあります。
思ったより手が止まったり、気持ちが揺れたりするのは、ごく自然なことです。遺品整理は、片付けであると同時に、ひとつのグリーフケアでもあります。
「どう進めればいいか分からない」「片付けと不動産の話が重なって、頭が追いつかない」そのようなときは、無理に一人で抱え込まなくて大丈夫です。不動産相続に詳しい専門家に相談することは、頑張らないための選択でもあります。
立ち止まりたくなったとき、迷ったときは、いつでもSOSを出してください。あなたのペースで、少しずつ……それで十分だと筆者は考えます。
執筆者 : 稲場晃美
お金と不動産相続のコンシェルジュ
宅地建物取引士・AFP・住宅ローンアドバイザー・相続診断士

