高血圧の薬が「駅前の薬局」は“1600円”なのに、近所の薬局は「1300円」でビックリ! 年1万円近い差になるのですが、家賃分が薬代に“上乗せ”されているのでしょうか? 理由を確認
実はこの差、薬そのものの価格ではなく、国が定めた調剤報酬の仕組みによって生じています。本記事では、薬局ごとに支払額が変わる理由を分かりやすく解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
薬の値段は全国共通でも金額が変わる理由
処方箋で出される医療用医薬品は、全国一律で薬価が設定されています。
つまり、高血圧薬そのものの値段は、駅前の薬局でも自宅近くの薬局でも変わりません。それでも支払額に差が出るのは、薬代とは別に調剤報酬が上乗せされるからです。調剤報酬とは、薬剤師が行う調剤や服薬指導、薬歴管理などに対して国が定めた報酬で、点数制で細かく決められています。
調剤報酬は薬局の体制で変わる
調剤報酬は、すべての薬局が同じ点数で算定するわけではありません。2025年4月施行の調剤報酬改定では、薬局の機能や地域での役割に応じた評価が、より重視されています。
例えば、処方箋を受け付けた際に算定される調剤基本料は、薬局の規模や届出状況によって区分されます。さらに、服薬指導の内容や薬歴管理の方法によっても点数が変わるため、結果として患者の自己負担額に差が生まれてしまうのです。
加算が多い薬局ほど支払額は高くなりやすい
一定の条件を満たした薬局では、基本点数に加えて各種加算を算定できます。
各種加算は、地域医療への貢献や薬剤師の対応力を評価する目的で設けられています。そのため、サービスが手厚い薬局ほど点数が高くなり、1回あたりの支払額もやや高くなる傾向です。ただし、これは不要な請求ではなく、制度上認められた正当な評価です。
駅前の薬局が高いとは限らない
「駅前は家賃が高いから薬も高い」と思う人もいるかもしれませんが、現在の制度では必ずしもそうとは限りません。支払額を左右するのは立地ではなく、どの調剤報酬を算定しているかです。
自宅近くの小規模な薬局が多くの加算を算定していれば高くなり、駅前の大手薬局が算定項目が少なければ結果的に安くなります。
ジェネリックでも差が出る理由
ジェネリック医薬品を積極的に扱っている薬局では、後発医薬品に関する加算が算定されることがあります。そう聞くと、加算があるため高くなりそうに思うかもしれませんが、ジェネリックは薬価自体が低く結果的に自己負担が抑えられるケースも少なくありません。
同じ高血圧薬でも、薬局の対応方針によって1回数百円の差が生じる場合があります。
高血圧薬では「毎月・長期服用」が差を大きくする
高血圧薬の大きな特徴は、ほぼ毎日、長期間飲み続ける薬である点です。
一度処方が始まると、月1回または2回のペースで通院し、同じ薬を何年も服用する人が多いです。調剤報酬は1回の処方ごとに算定されるため、たとえ1回の会計差が200~300円程度であっても、積み重なると金額差は想像以上に大きくなります。
例えば、処方1回あたり300円の差が出ると、月1回処方なら年間で約3600円、 月2回なら約7200円の差です。さらに、降圧剤が増えたりほかの生活習慣病の薬が加わったりすると、年間で1万円近い差になるケースも十分あり得ます。
「同じ高血圧薬なのに高い」と感じやすい理由
高血圧薬は症状の変化が少なく、処方内容も安定しているため、患者側は「毎回同じ薬=同じ金額」と思ってしまいがちです。そのため、薬局を変えたときに数百円の差が出ると、薬の値上げかと不安になりやすいです。
しかし、実際には薬そのものではなく、調剤基本料や服薬指導料などの違いが反映されているケースがほとんどです。
高血圧薬こそ薬局選びで差が出やすい
短期間服用する薬であれば影響は小さくても、高血圧薬のように何年も飲み続ける薬では、薬局ごとの差が家計にじわじわ効いてきます。
しかし、価格だけでなく「血圧や飲み忘れの相談がしやすい」「薬の変更点を丁寧に説明してくれる」といった点も含めて自分に合った薬局を選ぶと、結果的に納得感のある医療費につながります。
まとめ
同じ処方箋でも薬局によって支払額が違うのは、薬の値段ではなく調剤報酬の算定内容が異なるためです。
差があるからといって、必ずしも「高い薬局が損」「安い薬局がお得」とは限りません。服薬指導の丁寧さや相談のしやすさも含め、自分に合った薬局を選ぶことが大切です。仕組みを知っておくだけでも、日々の医療費への納得感は大きく変わります。
出典
公益社団法人日本薬剤師会 調剤報酬点数表
執筆者 : 仲千佳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
