更新前に「家賃3万円アップ」を通告されました。承諾しないと退去になるの? 借主の権利は?

配信日: 2026.02.22
この記事は約 4 分で読めます。
更新前に「家賃3万円アップ」を通告されました。承諾しないと退去になるの? 借主の権利は?
賃貸住宅の更新を前に、「次回から家賃を3万円上げたい」と通告されたら、不安になるのは当然でしょう。承諾しなければ退去を求められるのではないか、と心配する人もいるかもしれません。近年は家賃相場の上昇も報じられていますが、家賃の値上げは貸主の一方的な判断だけで実現するものではありません。
 
本記事では、最新の家賃動向データを踏まえつつ、家賃増額の法的な考え方と借主の権利について整理します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

家賃相場は上昇傾向にある

まず、家賃をめぐる市場環境を確認します。
 
アットホーム株式会社「全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向(2025年12月)」によると、マンションの平均募集家賃は首都圏全エリアおよび札幌市・名古屋市・京都市・神戸市・福岡市の計10エリアで、全面積帯が前年同月を上回りました。
 
例えば、東京23区のシングル向きマンションの平均家賃は10万6854円で、前年同月比では+11.1%(+1万691円)と大きく上昇しています。カップル向き・ファミリー向きも全13エリアで前年同月を上回り、東京23区では大型ファミリー向きの平均家賃が40万円を超えるなど、上昇傾向が続いています。
 
アパートについても同様に、カップル向き・ファミリー向きが全13エリアで前年同月を上回り、東京23区では3ヶ月連続で全面積帯が最高値となりました。
 
このように、相場が上昇していること自体は事実です。ただし、「相場が上がっている=現在の契約家賃を貸主が自由に引き上げられる」というわけではありません。
 

家賃の増額は一方的に決められない

賃貸借契約では、家賃は契約で定められた重要な条件です。契約期間中は、原則として当事者の合意がなければ変更できません。
 
更新時に貸主から増額を提案されることはありますが、借主が同意しなければ直ちに新賃料が確定するわけではありません。借主が「承諾しない」と意思表示をした場合、従前の賃料で契約を継続することを主張できる余地があります。
 
また、家賃の増額が相当かどうかは、近隣の賃料相場や、賃貸物件にかかる管理費・固定資産税の変動などを総合的に考慮して判断されます。単に「相場が上がっているから」という理由だけで、大幅な値上げが当然に認められるわけではありません。
 

承諾しなければ退去になるのか

「値上げを拒否したら退去させられるのでは」という点も気になるところです。
 
賃貸借契約を貸主側から終了させるためには、法律上「正当事由」が必要とされています。正当事由とは、建物の老朽化や貸主自身の使用の必要性、借主の重大な契約違反など、一定の合理的理由が求められるという考え方です。単に借主が家賃増額に応じなかったという理由だけで、直ちに退去を強制できるわけではありません。
 
更新を拒絶する場合にも、正当事由の有無が問題となります。したがって、値上げに同意しないことだけを理由に、即座に退去義務が発生するとはいえません。
 

「3万円アップ」は妥当かどうかの考え方

では、今回のケースにおける「3万円アップ」という具体的な金額はどう考えればよいのでしょうか。
 
例えば、現在の家賃が12万円の場合、3万円の増額は25%の引き上げに相当します。前述の東京23区シングル向きマンションの前年同月比が約11%であったことと比較すると、相場上昇率を大きく上回る増額といえます。
 
もっとも、物件の条件や立地、築年数によって事情は異なります。現在の契約家賃が相場より著しく低い場合には、一定の増額が合理的と判断される可能性もあります。
 
重要なのは、近隣同種物件の募集家賃と比較し、どの程度の乖離(かいり)があるのかを客観的に確認することです。そのうえで、増額幅が妥当かどうかを判断することになります。
 

まとめ

家賃相場が上昇していることはデータからも確認できますが、賃料の増額は貸主の一方的な意思だけで成立するものではありません。借主が承諾しなければ、従前賃料での継続を主張できる場合がありますし、退去を求めるには法律上の正当事由が必要です。
 
今回の「3万円アップ」という提示が妥当かどうかは、現在の家賃水準や近隣相場との比較によって判断されます。提示内容に疑問がある場合は、相場資料を確認し、必要に応じて専門家や相談窓口に相談することも検討材料になります。感情的に判断するのではなく、契約条件と市場水準を整理したうえで対応を考えることが大切です。
 

出典

アットホーム株式会社 全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向(2025年12月)(1、3ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問