夫に「無償化で私立なんて行っても苦労する」と言われショック! タダなら“私立のほうがお得”じゃないんですか?「海外の修学旅行に50万円」「誕生日プレゼントにデパコス」格差を感じる負担とは
保護者の学費負担の面において、私立高等学校と公立高等学校では、どのような差があるのでしょうか。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
「私立高等学校の学費実質無償化」の内容と経緯を確認
文部科学省が令和7年3月にまとめた資料「いわゆる『高校無償化』に関する動向について」から引用しながら、近年の高校無償化に関する政策の流れについておさらいしておきましょう(図表1)。
・平成22年度
公立高等学校については授業料を無償とし、私立高等学校等の生徒には就学支援金制度が創設された。(所得制限はなし)
・平成26年度
低所得世帯における授業料以外の教育費負担が大きいことや、公立・私立間の教育費格差等の課題となり、私立の生徒への就学支援金の加算の拡充と低所得世帯の授業料以外の教育費負担の軽減のための「高校生等奨学給付金」制度が創設された。同時に精度が適用される世帯への所得制限(基準額:910万円)が導入された。
・令和2年度
高等学校等就学支援金の支給上限額を引き上げることにより、年収590万円未満世帯を対象とした私立高等学校授業料の実質無償化が実現された。
図表1
文部科学省 いわゆる「高校無償化」に関する動向について 令和7年3月14日
さらに、令和7年2月には自由民主党・公明党・日本維新の会が教育無償化について合意し、
「令和8年度から、収入要件を撤廃し、私立加算額を45.7万円に引き上げる。低中所得層への高校生奨学給付金の拡充や公立高校などへの支援の拡充を行う」
「選考措置として、令和7年度分について、全世帯を対象とする支援金(11.88万円)の支給について収入要件を事実上撤廃する」
などの方針が示されました。
こうして教育無償化に関する経緯を眺めていると、収入要件の設置や撤廃などの紆余(うよ)曲折はありながらも、徐々に教育費に対する補助が手厚くなってきたことが見て取れます。特に、学費が高くなりがちな私立高等学校に通う生徒をもつ世帯に対する「加算」が拡充されてきたことが印象的です。
私立学校ならではの「友達付き合い」「特別支出」が負担になることも
私立高等学校に通う生徒を持つ世帯への学費補助が手厚くなることで、「それならばうちの子どもも私立に入れようか」と考える人もいるかもしれません。しかし、そのような考え方に反対する意見も、ネット上には多く見られています。
代表的な意見は、以下のようなものです。
・部活に入ったら、「夏合宿だから15万円払って」みたいな事態が起きうる。
・女子は誕プレにデパコス贈り合い、男子は放課後買い食いで安くないラーメン屋に平気で通う。
・施設維持費や部活の合宿費用、人付き合いや遊びにかけるお金もそれなりにかかる。
・富裕層が多い私学に入ったものの、さまざまな「交際費」支払いを渋り、自分の望むコミュニティにはいられず転校したケースを知っている。
・高級な私学は「修学旅行」いう名の海外旅行(負担額50万円)がある場合が多い。
これらの意見をまとめると、「純粋な学費(授業料)は無償になったとしても、修学旅行費や施設維持費は高額になりがちで、加えて私立高校へ通う高所得層の子どもに生活レベルをあわせてしまうと、結局保護者の負担が増えるから、安易に低中所得層の世帯が子どもを私立高校に入れるのは考えものだ」という形にまとめられるでしょうか。
現在拡充が進んでいる「高等学校無償化」は、あくまでも「授業料の無償化」にすぎません。部活動をはじめとする学外での活動にかかる費用や、修学旅行の費用負担などについては議論もされておらず、今後も無償化の範囲が広がる可能性は低いように思えます。
高校生になる年頃の子どもを持つ親としては、「私学無償化」という言葉に踊らされず、実際に学生生活を送る中で親が負担する費用をきちんと調べ、子どもとも相談の上、お互いが納得して進学先を決めていきましょう。
まとめ
平成22年度に「高等学校無償化」制度が創設され、徐々に無償化となる範囲が広がってきました。ただし、これは「授業料負担額の無償化」であり、学外活動や修学旅行にかかる費用負担については議論されていません。また、富裕層の子弟が多く入学するような学校では、いわゆる「友達付き合い」にかかるお金も高くなりがちです。
私立高校では、授業料以外の負担が公立校に比べて大きくなることが多く、高校に進学する年頃の子どもがいる親としては「私学の無償化」という言葉に惑わされず、冷静に私立の高校に通うことでかかる「教育費」全体をシミュレーションしていく必要があります。
出典
全国知事会 文部科学省 いわゆる「高校無償化」に関する動向について 令和7年3月14日
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

