娘が「奨学金で大学に行きたい」と言いますが、卒業後“300万円の借金”になりますよね? 親が「教育ローン」を借りるべきですか? トータルで“払う利息”を比較

配信日: 2026.02.27
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娘が「奨学金で大学に行きたい」と言いますが、卒業後“300万円の借金”になりますよね? 親が「教育ローン」を借りるべきですか? トータルで“払う利息”を比較
子どもが大学に進学する際、多くの家庭で課題になるのが学費の問題ではないでしょうか。「娘が奨学金を借りて大学に行きたいと言うが、卒業後に300万円もの返済が残るのは心配だ」と不安になる保護者の人は多いでしょう。
 
そこで本記事では、親心として「教育ローン」を借りたほうがよいのか、それとも子どもに「奨学金」を借りさせるべきなのか。具体的な数字を交えて解説します。
高柳政道

FP1級、CFP、DCプランナー2級

「奨学金」とは?

奨学金とは、経済的理由で修学が困難な学生に対し、学費や生活費を貸与したり給付したりする制度です。もっとも利用者が多い日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、返済不要の給付型と、返済が必要な貸与型があります。「卒業後の返済額が300万円」というケースは、有利子の「第二種奨学金」を利用する場合だと考えられます。
 
奨学金の最大の特徴は、契約者つまり借主が「学生本人」であるという点です。卒業後の返済義務は子どもが負いますが、在学中は無利子かつ返済不要という大きなメリットがあります。有利子の第二種であっても、大学を卒業するまでは利息も返済義務も一切発生しません。
 
また、金利が非常に低く設定されている点も見逃せません。JASSOの奨学金には「利率固定方式」「利率見直し方式」があり、いずれか一方を第二種奨学金の申込時に選択します。最後の貸与終了時に、返済利率が決定される仕組みです。
 
例えば、2025年度(令和7年度)の金利(貸与利率)をみると、「利率固定方式」1.612%~2.512%、「利率見直し方式」が0.9%~1.7%(いずれも基本貸与部分)です。
 
一方、ある民間銀行の教育ローンの金利は、変動金利でも年4%以上です(2026年2月時点)。日本学生支援機構の奨学金は、民間の教育ローンと比べてかなりの低金利といえます。
 

「国の教育ローン」とは?

国の教育ローン(教育一般貸付)は、日本政策金融公庫が取り扱う公的な融資制度で、奨学金との決定的な違いは、借主が「保護者」である点です。子どもに借金を背負わせたくないという親心から、こちらを検討する保護者は多くいます。
 
この制度は、学生1人につき350万円まで融資を受けられ、受験費用や住居費など幅広い用途に使えます。申込みは年間を通じていつでも可能で、入学前の早い段階で資金を確保できるため、入学手続きの際の一時金としても利用しやすいのが特徴です。
 
しかし、金利面では奨学金よりも高くなる傾向にあります。固定金利が適用されますが、2026年2月時点での金利は固定金利で年3.55%となっており、奨学金の利率固定方式と比較して高めの水準です。さらに、融資を受けた翌月からすぐに利息が発生するため、在学中から返済が始まる点も家計に影響を与えます。
 

将来的に返済する利息はどちらのほうが多くなる?

結論からいうと、トータルの返済額で比較すれば奨学金のほうが有利で、支払う利息は少なくなります。具体的に「300万円を借りて返済する場合」でシミュレーションしてみましょう。
 
まず、奨学金(第二種・2026年1月の最新の金利2.512%と仮定)の場合を見てみます。300万円を借りた場合の返済期間は、学生支援機構の返済シミュレーション上は17年となりました。17年間の利息総額は約73万円、総返済額は約373万円です。
 
一方、国の教育ローン(2026年2月時点の固定金利3.55%と仮定)を17年かけて返済した場合、17年間の利息総額は約100万円、返済総額は約400万円と試算できました。国の教育ローンは奨学金と異なり、借入日の翌月または翌々月の希望日からの返済開始になります。
 
利息の差額は、およそ27万円になります。親が借りるという安心感のために30万円近く多く支払うのが家計にとって正解なのか、冷静に判断する必要があるでしょう。
 
保護者に返済能力があるのなら、奨学金を子ども名義で借りて、実際の返済資金を親が援助するという方法がお得です。ただし、一括で返済するなど金額によっては贈与税がかかる可能性もあります。
 

入学前の資金不足には教育ローンが便利

金利面では不利に見える教育ローンですが、奨学金にはない決定的なメリットがあります。それは、「入学前の資金不足に対応できる」という点です。
 
大学進学では、合格発表から入学までの間に「入学金」や「前期授業料」など、まとまったお金を納付しなければならないことが一般的です。しかし、奨学金が口座に振り込まれるのは、原則として「入学後(5月以降)」です。つまり、もっともお金が必要な入学手続きのタイミングに、奨学金は間に合わないのです。
 
その点、国の教育ローンはいつでも申込みが可能で、合格発表前に審査を済ませておけば、入学手続きのお金が必要な時期に合わせて融資を受けられます。
 

まとめ

数字だけで判断するならば、金利が低く在学中無利子の奨学金を利用するほうが、家計全体の負担は軽くなります。
 
教育ローンは親の名義という精神的なメリットはありますが、その代償として多額の追加コストが発生しかねません。まずは奨学金をフル活用し、浮いた利息分の金額を卒業後の繰り上げ返済資金として保護者が貯蓄することをおすすめします。
 
ただし、入学前の資金需要には教育ローンのほうが向いています。どのタイミングでお金が必要になるかで、どちらに申し込むべきかは変わってくるでしょう。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率
株式会社日本政策金融公庫 教育一般貸付(国の教育ローン)
 
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級

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