ミスド運営会社「ダスキン」は“清掃用品”の会社なのに、なぜ「ドーナツ店」を運営している? 創業者が“日本でのフランチャイズ権”のために、巨額の投資をした「ドーナツへの想い」とは
本記事では、ダスキンの事業内容、ミスタードーナツと清掃系事業の売上・利益の比較、そしてダスキンがミスドを運営することになった意外な経緯について解説します。
FP2級、日商簿記3級、アロマテラピー検定2級、夫婦カウンセラー、上級心理カウンセラー、整理収納アドバイザー
ダスキンはどんな会社? 2つの事業グループを展開
ダスキンは、1963年に創業した大阪府吹田市に本社を置く企業です。事業は大きく「訪販グループ」と「フードグループ」の2つに分かれています。
訪販グループは、モップやマットなどの清掃・衛生用品のレンタル事業(クリーンサービス)を中心に、ハウスクリーニングや家事代行(ケアサービス)、害虫駆除(ターミニックス)、介護用品のレンタル(ヘルスレント)などを展開しています。家庭や事業所に定期的に訪問し、清潔で快適な環境を提供するサービスが特徴です。
フードグループは、ミスタードーナツを中心とした外食事業を展開しています。国内で1000店舗以上を運営するミスタードーナツのほか、とんかつレストラン「かつアンドかつ」や、近年子会社化したイタリアンレストラン「ナポリの食卓」なども含まれます。
「ミスド」vs「清掃」売上・利益を比較してみると
それでは、ミスタードーナツを含むフードグループと、清掃事業を含む訪販グループの業績を比較してみましょう。ダスキンの2025年3月期決算によると、セグメント別の売上高と営業利益は図表1のとおりです。
図表1
株式会社ダスキン 2025年3月期 決算説明会資料より筆者作成
売上高では、訪販グループが約1084億円、フードグループが約667億円と、清掃系事業のほうが約1.6倍大きくなっています。一方、営業利益を見ると、訪販グループが約57億円に対し、フードグループは約86億円と、ミスドを中心としたフード事業のほうが約1.5倍高い利益を上げています。
営業利益率で比較すると、訪販グループが約5.3%、フードグループが約12.8%となっており、フードグループの収益性の高さがうかがえます。近年ミスタードーナツは好調が続いており、2025年3月期は前期比で売上高が14.2%増、営業利益が23.7%増と大幅な成長を遂げています。
なぜ清掃の会社がドーナツを運営? 創業者の「決断」がきっかけ
清掃用品のレンタル事業を展開していたダスキンが、なぜドーナツ事業に進出したのでしょうか。その経緯は、創業者の鈴木清一氏の渡米にさかのぼります。
1968年、ダスキンの創業者である鈴木清一氏は、フランチャイズシステムを学ぶためにアメリカを訪れました。その際、ミスタードーナツ・オブ・アメリカ社を視察し、創始者のハリー・ウィノカー氏と出会います。
当初、鈴木氏は清掃事業とはまったく異なる飲食業への進出に興味を示していませんでした。しかし、本場のドーナツを食べてそのおいしさに感動し、さらに明るい店内でドーナツを楽しむ人々の笑顔を見て、「こんなにおいしいドーナツを日本の人々にも届けたい」と決意します。
1970年1月、鈴木氏は日本全国でのフランチャイズ権を取得する契約を結びます。その契約金は、当時のダスキンの資本金の約2倍にあたる1億5300万円(42万5000ドル)という巨額でした。鈴木氏は一晩悩み抜いた末、「フランチャイズの勉強になる」「加盟店に新たなビジネスチャンスを提供できる」と考え、契約を決断しました。
そして1971年4月、大阪府箕面市にミスタードーナツ1号店がオープン。当時はドーナツ1個40円、コーヒー1杯50円で、24時間営業でした。これは、ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドと並び、日本で最も早い時期に営業を開始したフード系フランチャイズチェーンの1つとなりました。
まとめ
ダスキンは、清掃事業とドーナツ事業という一見無関係な2つの事業を展開していますが、どちらも「フランチャイズシステム」という共通点があります。売上高では清掃系の訪販グループが大きいものの、営業利益ではミスドを中心としたフードグループが上回っており、両事業がバランスよく会社を支えていることが分かります。
創業者が、アメリカで出会ったドーナツのおいしさに感動し、巨額の投資を決断したというドーナツへの想いが、今日の成功につながっているようです。
出典
株式会社ダスキン 2025年3月期 決算説明会
執筆者 : 上野梓
FP2級、日商簿記3級、アロマテラピー検定2級、夫婦カウンセラー、上級心理カウンセラー、整理収納アドバイザー

