都内の「一戸建て暮らし」はもはや夢!? 将来の住居、あなたはどうする?
配信日: 2019.07.05
2019年4月に発表された住宅・土地統計の調査結果から都道府県別の一戸建て割合や、東京都の共同住宅暮らしの状況を確認してみました。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
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都道府県によって一戸建て暮らしの割合には大きな違いがある
日本全国の居住世帯のある住宅5366万戸のうち、一戸建ては2876万戸で割合は53.6%になります。全国的には半分の住宅が一戸建てという状況ですが、この割合は徐々に下がってきており、総務省の平成30年住宅・土地統計では5年間で1.3%下がっています。
また、都道府県別によって非常に大きな違いがあり、すでに50%を切っている都道府県も複数あります。そこで、都道府県によって一戸建ての割合がどのくらい違うのか、グラフにまとめてみました。
なお、住宅には一戸建て以外に共同住宅(マンションやアパート等)や長屋建て(テラスハウス等)等があります。
居住世帯のある住宅のうち一戸建ての割合が最も高いのは秋田県で、79.7%になります。一戸建てに住んでいる人の割合ではなく住宅数の割合なので、秋田県では住宅が5つあれば4つは一戸建てという計算になります。
次に割合が高いのは山形県(77.7%)、以下富山県(76.8%)、福井県(76.3%)、青森県(74.9%)と日本海側の県が続いています。
逆に一戸建ての割合が低いのは東京都で26.8%しかありません。秋田県より50%以上低く、住宅が4つあれば1つしか一戸建てがない計算になります。東京の次に割合が低いのは沖縄県(38.8%)、以下大阪府(40.7%)、神奈川県(41.4%)、福岡県(44.3%)と続きます。
全国平均の53.6%より低い都道府県は9つしかなく、上記の他では北海道(52.0%)、千葉県(53.2%)、愛知県(51.1%)、兵庫県(50.4%)が平均以下となっています。
居住世帯のある住宅のほとんどは一戸建てまたは共同住宅なので、一戸建ての割合が高いと共同住宅の割合が低く、一戸建ての割合が低いと共同住宅の割合が高いことを意味します。都市部では土地を有効利用するために共同住宅が多くなりやすいです。
東京都では共同住宅が70%越え
先ほどの一戸建ての割合で最も低かった東京都の状況をもう少し詳しく見てみましょう。下記のグラフは東京都の共同住宅数と住宅に占める共同住宅の割合の推移を表したものです。
先ほどのグラフは一戸建ての割合を示したものですが、共同住宅の状況をわかりやすく伝えるために共同住宅の割合を載せています。
東京都では2018年(平成30年)の段階で共同住宅の数が482万戸、居住世帯のある住宅のうち共同住宅の割合は71.0%となっています。一戸建ての割合は全国一低い26.8%でしたが、共同住宅の割合は逆に全国一高くなっています。
グラフを一目見てわかるように共同住宅の割合が長期的に上がり続けています。1978年(昭和53年)の時でもすでに55.0%ありましたが、そこから40年でさらに16.0%も割合が高くなっています。
その間、共同住宅の数も増え続けており、1978年の210万戸から40年で2.3倍になっています。居住世帯のある住宅数が増えているので一戸建ても増えていますが、23%増なので増え方が共同住宅とはかなり違います。
東京都内の一戸建ての割合は26.8%で全国一低いですが、地域を区や市ごとに分けていくと一戸建ての割合がさらに低く、共同住宅の割合がさらに高い地域もあります。
東京都も広いので一戸建ての多い地域もありますが、特に都心部の千代田区・中央区・港区あたりでは、一戸建ての数がかなり限られています。
現在も盛んに再開発が行われており、古い一戸建てがまとめて解体されて超高層ビルに変わっています。都内の一部では一戸建てに住むことが永遠の夢になりつつあるようです。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者