フリーランスで仕事をしていますが収入が月8~10万円に落ち込みました。子どもを扶養しており生活費が苦しいです。生活保護の対象になりますか?
本記事では、生活保護制度の仕組みと受給の条件、そしてフリーランス特有の注意点を解説します。
CFP(日本FP協会認定会員)
1級FP技能士(資産設計提案業務)
住宅ローンアドバイザー、住宅建築コーディネーター
未来が見えるね研究所 代表
座右の銘:虚静恬淡
好きなもの:旅行、建築、カフェ、散歩、今ここ
人生100年時代、これまでの「学校で出て社会人になり家庭や家を持って定年そして老後」という単線的な考え方がなくなっていき、これからは多様な選択肢がある中で自分のやりたい人生を生涯通じてどう実現させていくかがますます大事になってきます。
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目次
フリーランスでも生活保護の対象になる?
結論からいえば、フリーランス(個人事業主)であっても、生活保護を受けることは可能です。フリーランスか会社員かといった働き方の違いは、制度上の大きな壁にはなりません。重要なのは、「世帯全体の収入」と「資産状況」です。
生活保護制度は、日本国憲法第25条「生存権」の理念に基づき、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。収入が一定基準を下回り、活用できる資産がない場合、その差額が支給されます。
「最低生活費」と「現在の収入」を比較する
生活保護が受けられるかどうかの基準となるのは、「最低生活費」です。最低生活費は、最低限度の生活を送るうえで必要とされている金額のことで、居住地域や世帯人数、年齢によって異なります。
支給額=最低生活費-世帯の総収入
最低生活費と世帯の総収入の差額が、生活保護における支給額となります。例えば、ひとり親世帯(子1人)で最低生活費が18万円と算出され、フリーランスの利益が8万円であれば、差額の10万円が支給されるイメージです。
生活保護の判定で確認される収入以外のポイント
単に「収入が低い」だけでなく、他にも生活保護の判定で確認されるポイントがあります。
資産の活用
預貯金、土地、家屋などの資産があれば、それを生活費に充てることが優先されます。また、解約返戻金のある生命保険や、日常生活に不要な車なども売却を求められるのが原則です。
能力の活用
働ける状態であれば、その能力に応じて働くことが求められます。「フリーランスで月8万円」という現状がある場合、不足分を補うために他の仕事(アルバイトなど)を並行して探すよう指導されるケースもあります。
あらゆる手だての活用
児童扶養手当、児童手当、住居確保給付金など、活用できる制度がある場合はその利用も検討され、そのうえでもなお生活が苦しい場合に生活保護の要否が判断されます。
扶養義務者の援助
親族(親や兄弟など)から援助が受けられる場合は、そちらを優先します。ただし、親族に無理やり仕送りを強要するものではなく、あくまで「援助可能かどうかの照会」が行われます。
フリーランスが生活保護を受ける際の注意点
フリーランスが生活保護を申請する場合、会社員とは異なる「個人事業主特有」のハードルが存在します。
「事業の継続」が認められるか
生活保護を受けながらフリーランスを続けることは可能ですが、「その事業を続けることで自立に向かえるか」が厳しく判断されます。
経費を差し引いた後の利益があまりに少なく、改善の見込みがないと判断された場合、廃業して会社員(給与所得者)としての就職を強く勧められる可能性があります。
経費の認められ方
生活保護上の「収入」は、売り上げから「必要経費」を引いたものです。しかし、福祉事務所が認める経費は、税務上の経費よりも範囲が狭い傾向にあります。
仕事に必要な道具は、「就労に必要」と判断されれば保有が認められることがありますが、例えば、高額なパソコンの買い替え費用や、過度な広告宣伝費などは認められない場合もあります。そのため、日頃から国税庁の帳簿保存のルールに基づいた正確な収支報告書を用意しておくことが重要です。
相談先と申請の流れ
生活保護は「申請主義」なので、相談しただけで不利益になることはありません。まずは、住んでいる地域を管轄する「福祉事務所」で相談しましょう。
基本的な申請の流れは、次のようになります。
1. 相談
現状(収入、資産、世帯構成)を伝え、生活保護の要件を確認します。
2. 申請
申請書を提出します。
3. 調査・審査
ケースワーカーによる家庭訪問や資産調査(銀行口座の照会など)が行われます。
4. 決定
原則として14日以内(遅くとも30日以内)に受給の可否が通知されます。
まとめ
フリーランスだから、生活保護の対象外ということはありません。生活保護は特別な制度ではなく、困窮時に利用できる公的な権利です。フリーランスの仕事が一時的に落ち込んでいるのであれば、再起のための時間を確保する制度ともいえます。
生活費に不安を感じたら、一人で抱え込まず、自治体窓口や専門家に相談することが大切です。
出典
厚生労働省 生活保護制度
横浜市 2025年度版 生活保護のしおり
執筆者 : 小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)
