上京したら「私立高校=お金持ちで頭いい」の価値観に仰天! 地元では「偏差値が低くて学費が高い」イメージですが、“公立の滑り止め”じゃないんですか? 評価が逆転する理由とは

配信日: 2026.04.18
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上京したら「私立高校=お金持ちで頭いい」の価値観に仰天! 地元では「偏差値が低くて学費が高い」イメージですが、“公立の滑り止め”じゃないんですか? 評価が逆転する理由とは
地方では、「私立高校=公立に入れなかった人が通う学校」というイメージを持つ人も少なくありません。一方、東京では私立が難関校や進学実績の高い学校として選ばれるケースも多く、その違いに戸惑う人もいるのではないでしょうか。
 
本記事では、公立高校と私立高校の費用差や偏差値の分布を具体的に見ながら、なぜ地域によって評価が逆転するのか、その背景にある構造を解説します。
大林郁哉

FP2級、AFP、簿記3級

私立と公立、どれくらい費用が違う?

まずは費用の違いです。文部科学省の「子供の学習費調査(令和5年度)」によると、令和5年度の学習費総額は、公立が約60万円、私立が約118万円となっています(図表1)。単純比較では約2倍の差があります。
 
ただし、この差をそのまま「実際の負担」と捉えるのは必ずしも正確ではありません。現在は「高等学校等就学支援金制度」により、授業料の負担が軽減される仕組みがあるためです。
 
これまでは、世帯年収の目安が約910万円未満であれば、公立高校の授業料(年額11万8800円)は全額支給対象となり実質無償となります。さらに、年収約590万円未満の世帯では、私立高校についても年間最大39万6000円の支援が受けられ、授業料の大部分がカバーされる水準となっていました。
 
そして、2026年度(令和8年度)以降は、この制度が拡充されました。具体的には、所得制限が撤廃され、私立高校に対する支給額が45万7200円に引き上げられました(図表2)。
 
これにより、「私立=高い」という構図は、今後さらに変化していく可能性があります。
 
図表1

図表1

文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
 
図表2
図表2

文部科学省 高等学校等就学支援金等
 

なぜ都市部と地方で「私立の評価」が逆転するのか

では、なぜ同じ私立高校でも評価がここまで異なるのでしょうか。ポイントは「競争構造」にあります。地方では高校の数が限られており、上位層の受験生が一斉に公立校を目指します。
 
結果として、学力上位層が公立に集中し、「公立=優秀」という構図が自然に形成されます。私立はその受け皿として機能することが多く、「滑り止め」という位置づけになりやすいのです。
 
一方、東京都などの都市部では事情が異なります。学校数が多く、私立が独自のポジションを築いています。特に中高一貫校や大学付属校は、高校受験を経ずに大学進学まで見据えたルートを提供しており、将来の進路を見据えて、効率的に学習環境を選ぶ「戦略的な進学先」として私立が選ばれるケースも少なくありません。
 

偏差値を見ても違う?「学校分布」が価値観をつくる

実際に偏差値の分布を見ると、この構造はより明確になります。
 
東京都では私立の難関校が偏差値70前後に複数存在し、公立トップ校と並ぶ位置にあります。一方、秋田県や山口県などでは、偏差値上位帯は公立高校が中心となっており、私立は中堅層に多く分布しています。
 
これは単に学力の違いではなく、「上位校がどこに集中しているか」という構造の違いです。つまり、地方では優秀な人が公立に行くのに対し、都市部では優秀な人が私立にも分散するため、同じ「私立」という言葉でも意味が変わってしまうのです。
 

「どちらが正しいか」ではなく、「前提が違う」という話

地方で暮らしてきた人にとって、「私立高校=お金持ちで頭がいい」という価値観に違和感を覚えるのは、無理はないかもしれません。ただしこれは、どちらが正しいか、間違っているかという話ではなく、前提となる教育環境が違うことから生まれています。
 
地方では、上位校が公立に集中しているため、「まずは公立を目指す」のが合理的な選択になります。一方、都市部では私立にも難関校や大学付属校が多く、進学ルートの選択肢が広いため、「あえて私立を選ぶ」ことが一般的です。つまり、同じ「私立」という言葉でも、地域によって指しているポジションが異なります。
 
進学先を考えるうえで重要なのは、「公立か私立か」という区分そのものではありません。例えば、その学校が地域の中でどのレベルに位置するのか、どのような進学実績があるのか、といった実態を見ることが大切です。
 
ラベルに引っ張られて判断するのではなく、構造と実態を理解して選ぶこと。それが結果として、「この選択でよかった」と思える進路につながるのではないでしょうか。
 

出典

文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
文部科学省 高校生等への修学支援
 
執筆者 : 大林郁哉
FP2級、AFP、簿記3級

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