私立高校の無償化が始まった今、子どもの教育費はどれくらい準備すべきでしょうか? 公立と私立で総額はいくら違うのでしょうか?
今回は、「いわゆる高校無償化」施策の内容を確認するとともに、今後、高校の教育費としていくら準備する必要があるのかを、公立と私立別に解説します。
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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「いわゆる高校無償化」とは
1. 高校無償化の変遷
高等学校等の進学率が約98%に達したことから、高等学校等の教育に係る費用を社会全体で負担すべきとされ、2010年度から公立高等学校については授業料を無償とし、私立高等学校等の生徒には所得制限なしで就学支援金を支給する制度が創設されました(※1)。
その後、制度改正を経て2020年度からは、高等学校等就学支援金の支給上限額が39万6000円に引き上げられましたが、所得制限が設けられ年収590万円未満の世帯を対象として、私立高等学校授業料の実質無償化が実現しました(※1)。
2. 「いわゆる高校無償化」とは
2026年度から施行される「いわゆる高校無償化」施策では、年収要件が撤廃され、高等学校に通う生徒を対象に、公立は上限11万8800円、私立は全国の私立高校の平均授業料水準相当額である45万7200円を上限とした高等学校等就学支援金が支給されることになりました(※1)。
高校進学に伴い必要となる教育費は
文部科学省の資料(※2)によれば、高等学校(全日制)の学年別の学習費の総額は図表1のとおりです。
図表1
| 公立 | 私立 | |
|---|---|---|
| 第1学年 | 70万240円 | 139万2712円 |
| 第2学年 | 58万958円 | 115万924円 |
| 第3学年 | 50万3697円 | 97万7725円 |
| 合計 | 178万4895円 | 352万1361円 |
(※2を基に筆者作成)
学習費の主な内容は、授業料、学用品・教材費、通学費、部活動費のほか、入学金や制服代などがあります。また、私立では、この中に施設費・設備費も含まれます。
高校無償化後の高校進学に必要な教育費は
高校無償化では、毎年の授業料が公立で11万8800円、私立で45万7200円まで助成されるため、前述の図表1からその額を差し引くと、図表2のとおりとなります。
図表2
| 公立 | 私立 | |
|---|---|---|
| 第1学年 | 58万1440円 | 93万5512円 |
| 第2学年 | 46万2158円 | 69万3724円 |
| 第3学年 | 38万4897円 | 52万525円 |
| 合計 | 142万8495円 | 214万9761円 |
(※2を基に筆者作成)
なお、高等学校等就学支援金は各家庭に現金で支給されるのではなく、高等学校に支給され授業料に充当されます。その結果、支給上限額の範囲内で授業料負担が軽減されます。
まとめ
高等学校無償化施策により、2026年度から所得制限なしで私立高校の授業料が実質無償化されます。それでも、高校3年間の教育費は、公立で約143万円、私立で約215万円が必要となります。
高校無償化で授業料の負担は軽くなっても、教材費や通学費、部活動費などは引き続き必要になります。公立と私立でかかる総額の違いも踏まえながら、家庭に合った進学先を考え、早めに教育費の準備を進めましょう。
出典
(※1)文部科学省 三党合意に基づく令和8年度以降の高校教育等の振興方策について
(※2)文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
