「家賃が払えない!」となったときに「住居確保給付金」はすぐ使えるの?
失業や収入減少時に家賃を支援してくれる制度ですが、「すぐ使えるのか」「誰でも対象なのか」といった疑問も多いでしょう。そこで本記事では、利用条件や申請の流れ、注意点までを整理します。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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住居確保給付金とは何か
住居確保給付金とは、主たる生計維持者が「離職・廃業後2年以内」または「本人の責任によらず、給与等を得る機会が離職・廃業と同程度まで減少している場合」に、家賃相当額を一定期間支給する制度です。
支給を受けるには、収入・資産・求職活動等の要件を満たす必要があります。実施主体は各自治体ですが、制度の根拠は厚生労働省が定めており、求職活動要件としては、自立相談支援機関での面接、ハローワークでの求職申し込み・職業相談、企業等への応募が示されています。
この給付金は、原則として大家や管理会社へ直接支払われる仕組みであり、利用者の手元に現金が入るわけではありません。これにより、家賃滞納による退去を防ぐことを目的としています。
支給期間は原則3ヶ月(状況により最長9ヶ月まで延長可)で、支給額には地域ごとの上限があります。具体的な支給額は市区町村や世帯人数によって異なりますので、自治体窓口で確認することが必要です。
さらに、原則として家主等の口座へ直接振り込まれ、管理費・共益費・駐車場代等は対象外です。つまり、実際の家賃全額が補てんされるとはかぎらない点には注意が必要です。
「すぐ使えるのか?」結論と現実的なタイムラグ
住居確保給付金は、申請から支給開始までどのくらいかかるかという点が気になるところですが、申請後に自治体の審査を経て支給が決定されます。自治体や書類状況で差が出るため、即日で使える制度とは言いづらいというのが実情です。
また、申請前に「自立相談支援機関」への相談が必須となっており、この相談予約にも時間がかかることがあります。したがって、家賃の支払期限が目前に迫っている場合には、同時に家主へ支払いの猶予相談や、他の制度(生活福祉資金貸付など)の併用も検討する必要があります。
住居確保給付金を利用できる条件
住居確保給付金は、一定の要件を満たす必要があります。主なポイントは、以下のとおりです。
・離職・廃業後2年以内、または同程度の収入減少状態であること
・世帯収入が基準額以下であること
・預貯金が一定額以下であること
・求職活動(ハローワーク利用等)を行うこと
特に注意したいのは、「働く意思と行動」が求められる点です。単なる家賃補助ではなく、「再就職までの生活支援」という位置づけであるため、求職活動の実績報告なども必要になります。自分が利用できる条件に適合しているか、事前に自治体の窓口でしっかり確認しましょう。
申請の流れと実務上の注意点
住居確保給付金の申請は、以下の流れで進みます。
1. 自治体の自立相談支援機関へ相談
2. 必要書類(収入証明、通帳、賃貸契約書など)の提出
3. 審査・決定
4. 大家等へ直接支給開始
注意点としては、「書類不備による遅延」です。特に通帳の写しや収入証明の不足で再提出になると、その分支給が遅れます。また、支給決定後も毎月の求職活動報告が必要であり、条件を満たさなければ支給停止となる可能性もあるので注意しましょう。
早めの相談とバックアッププランが重要
住居確保給付金は、家賃支払いに困ったときの有効な公的支援ですが、「即日で使える制度ではない」「原則家主へ直接支給」「誰でも利用できるわけではない」「収入・資産・求職活動等の要件あり」「支給額は市区町村と世帯人数で異なる」という点を理解する必要があります。
家賃が厳しくなりそうだと感じたときは、早めに自治体へ相談することが重要です。あわせて、家主との交渉や他制度の活用、家計の見直しなどを並行して行うことで、住居喪失のリスクを下げるように努めましょう。
生活防衛の観点では、「制度を知っているかどうか」が結果を左右します。万が一に備えて、こうした公的支援の内容を事前に把握しておくことは、家計を守るうえで支援材料となるでしょう。
出典
厚生労働省 住居確保給付金のご案内
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
