“月数千円”収入が増えただけなのに、所得制限の壁で『特別児童扶養手当』が突然ストップ! 「特別児童扶養手当等」の改正案が通れば、このような理不尽はなくなるのでしょうか?
現在、国会には「特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案」、いわゆる障がい児福祉所得制限撤廃法案が提出されています。
この法案は、障害のある子どもを育てる家庭の家計や働き方に、どのような変化をもたらすのでしょうか。お金の視点から、制度のポイントをわかりやすく解説します。
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児童手当の所得制限はなくなったが障害児福祉には制限が残っている
2024年10月、政府の「こども未来戦略」の一環として、児童手当の所得制限が撤廃されました。これにより、親の収入にかかわらず、すべての子どもが児童手当の対象となりました。
一方で、障害のある子どもを育てる家庭向けの支援には、今も所得制限が残っているものがあります。代表的なものが、特別児童扶養手当です。特別児童扶養手当とは、精神または身体に障害のある20歳未満の子どもを育てている父母などに支給される手当です。
ほかにも、障害児福祉手当、障害児通所支援、特別支援教育就学奨励費などの公的な支援には、所得に応じた制限や負担の仕組みがあります。
障害のある子どもを育てる家庭では、日々の生活費に加えて、医療費、療育費、通院の交通費、福祉用具、将来の自立に向けた貯蓄など、さまざまな費用がかかります。親が懸命に働いて収入を増やそうとしても、一定の所得を超えると支援が受けられなくなることがあります。
そのため、収入を増やしたくても「このまま働くと手当が止まるのでは」と不安になり、働き方を調整せざるを得ない家庭もあります。これが、障害児福祉に残る見えない壁といえます。
収入が増えるとかえって家計が苦しくなることがある
現在の所得制限で大きな問題になっているのが、基準となる所得を少しでも超えると、手当が支給停止になる場合があることです。少し収入が増えただけなのに、手当が一気になくなると、家計全体ではマイナスになることがあります。
たとえば、昇給や残業によって年収が増えたとしても、その結果、特別児童扶養手当が停止されれば、実際に使えるお金は減ってしまう可能性があります。額面の収入は増えたのに、手当がなくなり、実質的な手取りが減るという逆転現象です。
さらに、手当だけでなく、障害児通所支援などの福祉サービスの利用者負担にも影響することがあります。所得区分が上がることで、サービス利用料の負担が増える場合があるためです。
このような仕組みがあると、親は「もっと働きたい」「昇進したい」と思っても、家計への影響を考えて働き控えを選ぶことがあります。特に、子どもの療育や通所支援に継続的な費用がかかる家庭では、手当の停止は大きな不安材料です。
本来、親が働いて収入を増やすことは、子どもの将来への備えにもつながります。しかし、制度上の所得制限によって働く意欲がそがれてしまうなら、家計の自立を支える仕組みとしては課題があります。
所得制限撤廃法案は働き方と福祉利用の自由を広げる可能性がある
こうした不公平感や逆転現象を解消するため、「特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案」が衆議院に提出されました。障がい児福祉所得制限撤廃法案とも呼ばれています。
この法案は、特別児童扶養手当をはじめとする障害児福祉の公的給付から、所得制限を撤廃することを目指すものです。親の収入にかかわらず、障害のあるすべての子どもに必要な支援が届く制度をつくることを目的としています。
もし所得制限が撤廃されれば、対象となる家庭には大きなメリットがあります。まず、働き控えをする必要がなくなります。手当が止まることを心配して労働時間を減らしたり、昇進をあきらめたりする必要がなくなれば、親は自分のキャリアを考えやすくなります。
世帯収入を増やせれば、子どもの将来に向けた貯蓄や、必要な医療・療育費への備えもしやすくなります。経済的な不安が減ることで、家族全体の生活設計もしやすくなるでしょう。
また、福祉サービスの利用控えを防ぐ効果も期待されます。所得制限や負担増によって利用料が重くなると、必要な療育や通所支援の回数を減らしてしまう家庭があります。手当が安定して受け取れれば、子どもに必要な支援を継続しやすくなります。
ただし、現時点では法案が成立したわけではありません。制度がどう変わるかは、今後の国会審議を確認する必要があります。対象家庭は、今の制度を前提に家計を管理しつつ、改正の動きを注視することが大切です。
まとめ
障害のある子どもを育てる家庭には、医療費、療育費、通院費、福祉用具、将来への備えなど、さまざまな費用がかかります。児童手当の所得制限は撤廃されましたが、特別児童扶養手当や障害児福祉の一部には、今も所得制限が残っています。
この所得制限により、収入が少し増えただけで手当が止まったり、福祉サービスの負担が増えたりすることがあります。その結果、額面収入は増えたのに、実質的な家計は苦しくなるという逆転現象が起きる場合があります。
今回提出された特別児童扶養手当等の改正案は、単なる手当の拡充ではなく、障害のある子どもを育てる家庭が安心して働き、必要な支援を受け続けられる制度への見直しを目指すものです。
所得制限が撤廃されれば、親は働き方を調整せずに収入を増やしやすくなり、子どもの将来に向けた貯蓄や療育の継続もしやすくなります。今後の審議の行方を確認しながら、使える制度を把握し、家計と子どもの支援を両立できる備えを進めていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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