更新日: 2019.07.21 子育て
小・中・高・18歳以降で違う【教育費】の考え方
教育費はその子にとって、幸せな道を進むサポートになるだけでなく、お金を使うことで自分の夢をどのようにかなえたいか、真剣に考える契機になります。
執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント
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赤ちゃん誕生でまずはベースづくりから
赤ちゃんが生まれたらパパ・ママ人生のスタートですが、教育資金づくりも同時に始めましょう。目安は18歳をゴールに約200万円。月1万円の積立でかないます。これに、誕生から中学校卒業までの児童手当約200万円を加えると、400万円の教育費が準備できます(※)。
赤ちゃん誕生によって仕事をセーブするなど、世帯収入が下がる反面、支出は増えがちな時期です。
しかし、少しでも早く積立を始めることが、貯蓄額アップに貢献します。育児の大変さにまぎれて、スタートが遅くなるのは避けたいところ。できれば出産前の比較的落ち着いた時期から、準備を始めることをおすすめします。
幼少期は習い事よりスキンシップ
早期教育が盛んな今のご時世、いろいろな習い事に目移りしてしまいがちです。しかし、教育資金のピークは18歳から、大学等への進学時です。
ここでお金が用意できず、無理な資金計画を立てたり、安易に奨学金に頼りすぎたりすると、親子のその後のマネープランに影を落とします。
また、教育費は一度かけ始めると、降りられない列車のようなもの。子どもが複数いれば、後半になるほど苦しい展開が待っています。子どもが小さいときはできるだけ教育費をセーブすることが大切です。
幼少期は、スキンシップが心身の育成につながる時期でもあります。むしろ「読み聞かせ」「一緒にできる遊びを取り入れた学習」など、ひとつかふたつ無理なく続けられる範囲で、子どもとの時間を持つのがよいのではないかと思います。
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小学校までは習い事や塾は厳選
中学校に上がるまでは、比較的お金が貯めやすい時期です。そこで、これまでかかっていたお金がかからなくなる都度、こまめに積立を増額しましょう。
例えば、おむつがとれておむつ代が不要になった、進級で保育料が安くなったといった、一見ささいに見える千円単位の浮いたお金を積立に回します。きりのよい金額にとらわれず、とにかく始めることがポイントです。
学年が上がると、塾や習い事を本格的に検討することもあるでしょう。これらの費用は原則、毎月の収入でまかなえる範囲にとどめるのが肝心です。先の積立も続けるとなれば、おのずと予算に限りが出てきます。できれば本人が主体的にがんばれるものに絞り、学習の効果を高めたいものです。
中高生は偏差値で測れない適性を把握する
中高生ともなると、やりたいことや進路は自ら選ぶため、おのずと親は金銭面の後方支援に回ることになります。同時に、周囲の評価が学力に集まりがちです。
こうした理由で、教育費のかけ方が過熱する時期ですから、親はあえて一歩引き、偏差値では測れない子どもの資質をくみ取るようにしたいもの。
学力アップ=お金の準備(&叱咤激励)だけするというのは、親子を共に追いつめます。18歳を子どもの自立のゴールととらえるなら、むしろ生活能力など、学力以外で子どもが身につけるべきことを積極的に伝えていきましょう。
また、子どもが持っている、生きるために必要な資質は、親が一番わかっているものです。親がその資質を認める姿勢が、結局本人の人生を長く支えるのではないでしょうか。
18歳以降の進学は子どもに委ねる
現在の18歳以降の進路は、偏差値だけではない多様な選択基準があります。多くの親は、自分が受験してから20数年以上経過しており、今の選択肢を理解できていません。ついつい昔の知識で進学のアドバイスをしがちです。
子どもは親が思っているよりも、自分の人生や適性を冷静に分析しているものです。まずは、どういう理由で子どもがその進路を目指しているか、腰を据えて「聴き」ましょう。安易な批判や「自分のときは~」といった考えの押しつけは禁物です。
また、出せる教育費の範囲を早めに知らせておくことも重要です。その際、「お金がないから地元、国公立だけ。以上」といった結論のみで終わらせないこと。
親としてこれだけの用意があるので、もし他の進学先を考えているなら「このくらいを奨学金等で賄ってほしい」等、親が用意できる進学費用の上限を伝えたうえで、本人の希望を擦り合わせるのが大事です。要は、応援しているという気持ちを持って接し続けるということです。
(※)親等の所得が所得制限限度額内を超えない範囲の第1、2子の基準で試算。(3歳未満1万5000円/月、3歳以上~中学生1万円/月)
執筆者:波多間純子
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント