更新日: 2019.05.17 子育て

FPが注目するひとり親家庭向け給付奨学金(1)

FPが注目するひとり親家庭向け給付奨学金(1)
日本のひとり親家庭(特に母子家庭)の特徴は、就業率が高いにもかかわらず、収入が低いという点です。
そのため、子どもを大学等に進学させてあげたいと思いながら、経済的な理由で進学を断念してしまうケースが少なくありません。

ひとり親家庭向けの奨学金をいくつか紹介します。
ひとりでも多くのひとり親家庭にこの情報が届くとうれしく思います。
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

ひとり親家庭の現状

平成23年度全国母子世帯等調査結果の概要によると、世帯数(推計値)は母子世帯が123.8万世帯、父子世帯が22.1万世帯です。
児童のいる世帯(平成24年)は1,204万世帯ですので、おおざっぱに児童のいる世帯の10世帯に1世帯がひとり親家庭ということになります。
  
平均年間就労収入は、母子家庭が181万円、父子家庭が360万円です。
一般の平均給与所得(平成22年分民間給与実態統計調査)は、男性507万円、女性269万円ですので、ひとり親家庭の平均年間就労収入は一般世帯の7割程度です。
 
特に、母子家庭は就業率が80.6%と高いものの、非正規の割合が57%と高く、非正規の平均年間就労収入は125万円ですので、経済的にかなり厳しい現実が読みとれます。
 
大学等に進学させてあげたいと思っても、ひとり親家庭の子どもの進学率は、23.1%と全世帯の大学等進学率53.7%(平成26年度学校基本調査)の半分程度です。
  

ひとり親家庭向け給付奨学金(1)

奨学金には、借りる「貸与奨学金」と、もらう「給付奨学金」があります。この数年、ひとり親家庭の子どもたちが経済的な理由で進学を諦めないように、ひとり親家庭向けの給付奨学金が増えています。
  
・公益財団法人明光教育研究所の給付奨学金
応募資格は、「ひとり親家庭の子ども」、「里親に養育されている」、「施設に在籍している」、「保護者が病気等で就労困難である」など。
 
採用されると、小学生等は最大30万円、高校生等最大50万円、大学生等最大70万円給付されます。
1年間の給付が基本ですが、「奨学金の継続」手続きを行うことで、次年度の奨学金を希望することができます。
日本学生支援機構や自治体等の奨学金とのみ併給できます。採用人数は100名程度。学力基準はありません。
応募期間は、第3回は2016年12月1日~2017年1月31日でした。

  
・一般財団法人全国母子寡婦福祉団体協議会の夢を応援基金「ひとり親家庭支援奨学金制度」
今年度スタートした奨学金です。コンビニのローソンの寄付金が財源です。
応募資格は、ひとり親家庭の中学校3年生、高等学校(1~3年生)、高等専門学校(1~3年生)等に在籍する生徒です。全母子協加盟団体の会員であることが条件です。
 
対象人数は各100名、計400名です。採用されると、高校卒業までの最長4年間、月額3万円(他の奨学金との併用可)が給付されます。
応募期間は、第1回は2017年7月1日~8月25日でした。
 
※次回(2)は、遺児を対象とした給付奨学金を紹介します。
   
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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