岐阜県独自の修学支援金をご存じですか? 要件を満たせば返還免除になる場合も
配信日: 2019.09.24
奨学金についての説明や、制度紹介の文書の配布も大学によってはあったようです。大学独自の支援や、地方自治体など学外から支援を得られるものなどさまざまです。地方公共団体の各種奨学金は貸与型がほとんどですが、一定の条件を満たす場合に、返還を免除してもらえるものもあります。
一例として、岐阜県には以下のような奨学金制度があります(募集期間にご注意ください。制度により募集期間が異なります。また年度により、制度が変わることがあります。)
執筆者:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
Uターンすれば、返還を全額免除! 清流の国ぎふ大学生等奨学金
進学先は岐阜県外の大学でも、将来は岐阜県で就職をする意思のある方に貸与される奨学金です。貸与額は月額3万円です。卒業後6カ月以内に岐阜県内に住所を移して5年間住み続け、かつ、6カ月以内に県内で就職し5年間就業していれば、貸与された奨学金の返還が全額免除されます。
対象となる方は、岐阜県内の高等学校等を卒業し、県外に住所を有し、かつ、県外の大学等に在学している方です(大学等とは、大学・短期大学・高等専門学校・専修学校のことです)。
県外の大学に在籍していても、自宅から通う場合は対象なりません。学力基準、収入基準を満たす必要があります。学力基準は高等学校の場合5段階評価で3以上、大学等の場合は可以上です。
収入基準は世帯の人数によって所得金額が異なり、例えば3人家族の場合、高等専門学校190万円・大学等212万円、4人家族の場合は高等専門学校206万円・大学等229万円です。
所得の計算は、給与所得かそれ以外で計算方法が異なります。給与所得の場合は、源泉徴収票の支払金額より算出します。
・400万円以下の場合は 収入金額×0.8-214万円
・400万円超781万円以下の場合は 収入金額×0.7-174万円
・781万円超の場合は 収入金額-408万円
給与所得以外の所得の計算は、「総収入金額-必要経費」で計算します。
さらに、母子・父子家庭である、就学者の子どもがいる等の特別な事情がある場合は、計算された所得金額から、さらに特別控除額を差し引くことができます。その結果で、収入順を満たすかどうか判断されます(詳細は、該当年度の募集のしおりをご覧ください)。
岐阜県獣医修学資金制度
将来、岐阜県で産業動物または県職員の獣医師として働く予定の方に、修学資金を貸与する制度です。原則、獣医学の学生4年・5年・6年生が対象です。貸与額は、月10万円、私立大学の場合は月18万円です。卒業後、一定期間、産業動物または県職員の獣医師として働くことで、返還免除になります。
この制度は出身地・大学が問われません。しかし、留年等によって貸与が取り消されたり、大学卒業後2年以内に獣医師の免許が取得できなかったり、獣医師免許が取得できてから1年以内に産業動物または県職員の獣医師として就業できなかったり、就業期間を満たさなかった場合は、返還しなければなりません。
例えば、4年生・私学の場合、3年間で648万円の貸与額になります。学費がほぼ賄える金額が貸与されるので、予定通り就職できればいいのですが、免除されなければ返済する必要があります。
岐阜県医学生修学資金
岐阜県には、将来県内の医療機関に勤務する意思のある医学生に、修学資金を貸し付ける制度があります。県内の臨床研修病院で初期研修を行い、一定の勤務条件を満たすことで、返還が免除されます。
第2種として、岐阜大学の入学者・在学者だけでなく、自治医科大学以外の大学の医学部医学科の入学生・在学生が対象のものがあります。月額10万円の貸与額です。第1種は、地域枠の推薦入試で入学した者に貸与されます。成績は、調査書の学習成績概評がA(5から4.3)であることが要件です。
岐阜大学医学部には、岐阜県の地域医療に貢献したいという強い意思のある方を対象とした地域枠推薦入試がありますが、地域枠推薦で入学した方は岐阜県医学生修学資金(第1種)が岐阜県から貸与されます。
大学を卒業して医師免許を取得後に、決められた勤務要件を満たせば返還免除されます。【地域医療コース】と【岐阜県コース】があります。貸与される金額は、以下の金額です。
【地域医療コース】入学金・授業料相当額+月額20万円(6年間)=約1790万円
【岐阜県コース】入学金・授業料相当額+月額10万円(6年間)=約1070万円
また、返還免除は、以下の要件を満たす必要があります。
【地域医療コース】出身圏域で初期臨床研修後、引き続き県内の医療機関等で7年間勤務
少なくとも4年間は知事が指定する医療機関等(2年以上は出身市町村)
【岐阜県コース】県内で初期臨床研修後、引き続き県内の医療機関で7年間勤務
少なくとも4年間は知事が指定する医療機関等(岐阜圏域以外)
(※岐阜圏域は、岐阜市・羽島市・各務原市・山県市・瑞穂市・本巣市・岐南町・笠松町・北方町です)
【地域医療コース】の出願資格者は、以下の14市町村地域の出身者
海津市(旧南濃町)、揖斐川町、美濃加茂市、白川町、東白川町、美濃市、郡上市、瑞浪市、中津川市(旧坂下町を除く)、恵那市、高山市、飛騨市、下呂市、白川村
出願時には、各市町村長の推薦書が必要です。卒業高校等から市町村長の推薦書の交付申請をします。推薦枠は各市町村により異なります。
大きな金額が貸与されますが、返還免除要件を満たさないときは返還しなければなりません。その際、利息は年10%です。返還免除をされるよう、しっかり勉学に励み、地域医療に貢献しましょう。
他にも岐阜県内の医療機関での勤務等一定の条件を満たした場合は、修学資金の返還が免除される貸与制度があります。一例として、岐阜県のホームページには以下の案内があります。
・医療法人岐阜勤労医療協会医学生奨学貸与金
・郡上市医療職員修学資金
・東濃地域医師確保奨学資金等貸付制度
・飛騨市医師成資金貸与制度
詳しくは岐阜県ホームページをご覧ください。
<引用・参照>
清流の国ぎふ大学生等奨学金
岐阜県獣医就学資金制度
岐阜大学医学部地域枠「地域医療コース」・「岐阜県コース」のご案内
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者