更新日: 2024.09.05 その他暮らし
高等教育無償化、私立の大学・短大31校と国公私立の専門学校1024校が対象外に
一方、私立の大学・短大31校と国公私立の専門学校1024校は申請見送りなどの理由で対象外となりました。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
給型奨学金の概要
給付型奨学金(返済不要)を受給するには、家計基準(収入基準・資産基準)と学力基準を満たす必要があります。
まず、住民税非課税世帯およびそれに準じる世帯の生徒・学生が対象です。夫婦2人と子ども2人のサラリーマン世帯の場合、年収約380万円未満が対象です(家族構成によって年収の目安は異なります)。
収入基準を満たしていても、生徒・学生と生計維持者2人の資産(預貯金など)の合計額が2000万円以上(生計維持者が1人の場合は1250万円以上)の場合は対象外です。
学力に関しては、予約採用の場合、5段階評価で3.5以上、または、3.5以上ない生徒は、高校等で面談やレポートにより、学修意欲が確認できれば新制度の対象になります。
給付額は、住民税非課税世帯の場合、年額約35万円~約91万円です。住民税非課税世帯に準じる世帯では、この金額の1/3または2/3が支給されます。
授業料等減免の概要
給付型奨学金の採用条件を満たす生徒・学生は、同時に、授業料等減免の採用条件も満たします。ただし、授業料等減免を受けるには、進学先の大学等で授業料等減免の申請をする必要があります。
住民税非課税世帯の場合、最大で、国公立大学では入学金約28万円、授業料約54万円、私立大学では入学金約26万円、授業料約70万円まで減免されます。減免されるのは、入学金と授業料のみです。住民税非課税世帯に準じる世帯では、この金額の1/3または2/3が減免されます。
高等教育無償化の対象となる大学等の要件
高等教育無償化の対象となる大学等の要件は、
(1)実務経験のある教員による授業科目が標準単位数(4年制大学の場合、124単位)の1割以上、配置されていること
(2)法人の「理事」に産業界等の外部人材を複数任命していること
(3)授業計画(シラバス)の作成、GPAなどの成績評価の客観的指標の設定、卒業の認定に関する方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること
(4)法令に則り、貸借対照表、損益計算書その他の財務諸表等の情報や、定員充足状況や進学・就職の状況など教育活動に係る情報を開示していること
といった要件を満たす必要があります。
ただし、
(1)法人の貸借対照表の「運用資産-外部負債」が直近の決算でマイナス
(2)法人の事業活動収支計算書の「経常収支差額」が直近3カ年の決算で連続マイナス
(3)直近3カ年において連続して、在籍する学生数が各校の収容定員の8割を割っている場合
上記いずれにも当たる場合には対象になりません。
大学・短大1043校、専門学校1688校が無償化の対象
冒頭でお伝えしたとおり、文部科学省が9月20日に公表した「高等教育の修学支援新制度 機関要件の確認申請・審査の概要」によると、大学・短期大学は1043校(全体の97.1%)、高等専門学校は57校(全体の100%)、専門学校は1688校(全体の62.2%)が高等教育無償化の対象校となりました。
私立の大学・短大31校と国公私立の専門学校1017校は申請を見送り、専門学校7校は要件を満たさないという理由で対象外となりました。
文部科学省が機関要件確認者として確認を行った大学等の一覧は、文部科学省のホームページにある「大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第8号)による修学支援の対象機関となる大学等(確認大学等)について(令和元年9月20日 文部科学省)」で確認できます。
対象となる専門学校などの確認は、厚生労働省、各地方公共団体による公表ホームページアドレスの一覧「各地方公共団体等による確認大学等の公表ホームページ」を利用すると地方公共団体のホームページに簡単にアクセスできるので便利です。
<参考> 文部科学省ホームページ「高等教育の修学支援新制度の対象機関(確認大学等)」
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー