自然災害で家が倒壊したらどうする? 生活再建のための「被災者生活再建支援制度」とは
配信日: 2019.11.09 更新日: 2019.11.12
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
被災者生活再建支援制度って?
災害発生後、私たちが知っておきたい制度として「被災者生活再建支援制度」があります。災害に対する準備や援助などは、災害対策基本法の枠内において、「予防」、「応急援助」、「復旧・復興」の3つのステージに沿って実施されていきます。
一方で、被災者の支援については、復旧・復興段階で適用される「被災者生活再建支援法」を基礎にしています。
災害対策基本法における3つのステージ
※内閣府「災害救助法の概要」をもとに筆者作成
被災者生活再建支援制度の目的と対象
被災者生活再建支援制度は、「自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者に対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して被災者生活支援金を支給することにより、その生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資する」こととなっています。
自然災害で住んでいる家が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支援金が支給されます。
対象となる自然災害は、1市町村において住居が10世帯以上全壊した災害などです。詳しくは、内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」をご覧ください。
対象となる世帯は次のようになっています。
1.住宅が全壊した世帯
2.住宅が半壊、または住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
3.災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
4.住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯(大規模半壊世帯)
支援金の支給額
被災者生活再建支援制度では、対象となる世帯に応じて「基礎支援金」と「加算支援金」の2つの支援金が支給されます。
※内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」より抜粋
基礎支援金は「住宅の被害の程度」に応じて支給されるもので、加算支援金は「住宅の再建方法」に応じて支給されます。
これらの合計額が支給額となります。例えば、住宅が全壊し、また、再建方法として建設・購入を選んだ場合、基礎支援金100万円と加算支援金200万円が支給されます。
実際、生活基盤である住宅を再建しようとなると、これらの金額では足りないケースが多いと思います。意味合いとしては、住宅の再建は加入している火災保険からの保険金をもとに行うものとし、これらの支援金はそれまでのつなぎ資金として考えておくようにしましょう。
ここで注意しておきたいことは、空き家や別荘、他人に貸している物件などは対象にならない点です。なぜならば、被災時に被災者生活再建支援制度の対象となる世帯が住んでいることが要件になっているからです。
支援金の申請窓口はお住まいの自治体です。被災者生活再建支援制度の適用を受ける際は、り災証明書の交付を受けたうえで申請するようにしましょう。
出典:※内閣府「災害救助法の概要」
※内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)